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解説「菩薩の生き方」第十回(2)



【本文】

【解説】

 帰依の対象である三宝とは、原始仏教では、ブッダと、ブッダの説く法と、ブッダの出家の弟子たちの教団(サンガ)を指しますが、大乗仏教では、サンガの意味がもう少し広がります。在家・出家問わず、あるいは人間界ではない他の世界に存在している聖なる存在も含めて、仏陀の道に沿い、菩薩の道を歩く者たちは、「ボーディサットヴァ・サンガ」といい、帰依や供養の対象となるのです。



 はい。ここの部分は、最初のところで三宝への帰依が説かれているのでその解説ですが。まあ、書いてあるとおりですけどね。一般的には三宝といった場合――日本語ってかなり仏教用語が入ってるんですね。この三宝も例えば、まあ、ちょっとこれ前にも言ったけど、現代ではあんまり使わないけどさ、昔の世代でよく漫画とかドラマとかでさ、危機に陥ったときに「南無三!」って言ったりするんだね。現実的に言ってる人は聞いたことないけど(笑)。危機に陥ったときに「南無三!」って言うわけだけど、南無三ってあれ南無三宝っていう意味なんだね。つまり三宝に帰依しますと。もちろん意味知らないで使ってるんだろうけど。もとは南無三宝っていう意味です。で、この「三宝に帰依します」が、仏教の根本的な祈りでありマントラなんだね。仏陀とダンマとサンガに帰依し奉りますと。
 で、この三つっていうのは、原始仏教においては、ここに書いてあるように、仏陀イコールお釈迦様。そしてダンマイコールお釈迦様の説く教え。そしてサンガイコール――サンガっていうのは、「サンガ」っていう言葉が中国に渡って僧伽となり、で、日本語の僧っていう言葉になったわけですが、つまり出家のお坊さんのことです。お坊さんっていうか、正確に言うと出家教団のことです。これがサンガね。この三つに帰依しますと。つまり根本たる仏陀と、それからその教えと、その教えに奉じる者たちね。
 で、これはさ、ラーマクリシュナも、「バガヴァーン、バーガヴァタ、バクタ」っていうのをよく唱えてた。これはまさにかたちを超えた三宝ですね。主となるバガヴァーン、至高者と、バーガヴァタっていうのはその至高者を礼拝する経典ですね。そして至高者の信者であるバクタ。
 で、ここに書いてあるように、原始仏教ではお釈迦様と、お釈迦様の教えと、それから出家修行者っていうふうに狭く定義されてるんですが、大乗仏教はもうちょっと広がって、まず仏陀っていうのはお釈迦様に限らず完全な覚醒を得た魂、これが仏陀ですと。それから、お釈迦様の教えだけではなくて、この世にある完全なる真理の教え、これがダンマだと。そして出家修行者だけではなく、菩薩の道を歩く者、これはみんなサンガだと。だから出家してない場合もある。あるいは人間じゃない場合もある。とにかく菩提心を持って菩薩の道を行く者たちはサンガの一員であると。これに帰依しますっていう話だね。
 で、密教になると、皆さんは分かるように、この上にグルっていうのがきます。グルね。密教の場合は完全に、三宝よりも上にグルがきます。三宝よりも上であり、かつ三宝の体現された状態がグルであるっていう感覚になるんだね。つまり、仏陀とはグルの心であり、ダンマとはグルの言葉であり、そしてサンガとはグルの体であるっていう感覚になるんですね。だから密教ではそういう、ちょっと特殊な感じになりますが、でも考え方の根本は同じ。仏陀、ダルマ、サンガと。これに帰依しますっていう最初の祈りですね。

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