要約・ラトナーヴァリー(1) 「繁栄と至福の教え」
ラトナーヴァリー 第一章「繁栄と至福の教え」より
三宝に礼拝し奉ります。
あらゆる悪を離れ、あらゆる美徳で飾られ、すべての衆生の唯一無二の友であられる全智者に礼拝して、
王よ、あなたにダルマが栄えますように、ひたすら善なるダルマを説きましょう。
ダルマは、あなたのような正しいダルマの器において完成するのでありますから。
◇繁栄と至福の道――信仰と智慧
先にダルマによる繁栄があるところには、後に至福(解脱)が現れます。繁栄を達成した人は、順次に至福へと向かうのですから。
繁栄とは幸福であり、至福とは解脱に他ならない、と説かれています。それを達成する道は、要約して言えば、信仰と智慧です。
信仰があればダルマを受け入れ、智慧が具わるとダルマを真実に理解します。このうち智慧が要であって、信仰はそれに先行します。
愛欲や嫌悪や恐怖や迷妄のためにダルマに背くということがないならば、その人は信仰ある人である、と知らねばなりません。その人は至福を受ける最上の器であります。