要約「デーヴィー・マーハートミャ」六つの付属書① 「鎧(カヴァチャ)」
この「デーヴィー・マーハートミャ」には「六つの付属書」というものがついていますが、そのうちの最初の三つは、「デーヴィー・マーハートミャ」本体を読む前に唱えるものとされていますので、ここに若干要約したものを紹介したいと思います。
そのうちの第1番目の「鎧」は、これを唱えることで、霊的な鎧で守られるというものです。
六つの付属書① 「鎧(カヴァチャ)」
マールカンデーヤはこう言った。
「人々をあらゆる面で守護する、かつて誰にも語られたことのない、
世界の最高の秘密、それを私に語ってください。父なる神ブラフマーよ。」
ブラフマー神は答えて言った。
「ではブラーフマナよ、あらゆる生類を助ける秘密の中の秘密、
功徳をもたらす女神の鎧、それを聴け、大聖よ。
一人目はシャイラプトリー(山の娘)、二人目はブラフマチャーリニー(梵行女)、
三人目はチャンドラガンタ―(月の鈴)、四人目はクーシュマーンダー、
五人目はスカンダマーター(スカンダの母)、六人目はカーティヤーヤニー、
七人目はカーララートリー(終末の夜)、八人目はマハーガウリー、
九人目はシッディダー(成就を与える女)といわれる。
以上が九人のドゥルガーといわれる方々である。
火に焼かれている者、戦闘で敵のただなかにいる者、
苦境や難所に陥って、脅え、庇護を求める者、
危険の中にあっても、心から彼女たちを思い起こすならば、
彼らには決して凶事は起こらない。
彼にはいかなる災厄も、悲嘆も恐怖も苦痛もなく、
逆に彼らは繁栄に至るのだ。
死体の上に立つチャームンダー、水牛の背に乗るヴァーラーヒー(猪女)、
ゾウにまたがるアインドリー、ガルダに乗るヴァイシュナヴィー、
牡牛に乗るマーへ―シュワリ―(大自在女)、クジャクに乗るカウマーリー、
ハンサ(白鳥)に乗り、あらゆる装身具で飾り立てたブラーフミー、
以上、さまざまな装身具で美しく装い、さまざまな宝石でさらに美しく、
戦車に乗り、怒りに狂乱している女神たちがいる。
法螺貝、円盤、こん棒、槍、鋤、鉄槌、
盾、投げ槍、斧、羂索、
短い槍、三叉戟、最上の弓シャールンガ、
魔神たちの肉体を滅ぼし、帰依者たちに無畏を授け、
神々を幸せにするために、女神たちはこのような武器を携える。
剛腕の女、いかなる危険をも滅ぼす女、
私を守れ、見つめ難い女神よ、敵どもを脅かして。
東でアインドリーが守れ、東南で羊に乗る女が守れ。
ヴァーラーヒーは南で守れ、西南で剣を持つ女が守れ。
西でヴァ―ルニーが守れ、西北で鹿に乗る女が守れ。
北でカウベーリーが守れ、東北で矛を持つ女が守れ。
ブラフマーニーよ、私の上方を守れ。ヴァイシュナヴィーは私の下方を守れ。
死体に乗るチャームンダーは十方を守れ。
ジャヤーは私の前に立て。ヴィジャヤーは背後に立て。
アジターは左側に、アパラージターは右側に。
ウドヨーティニー(輝く女)は髷を守れ、ウマーは頭頂を守れ。
マーラーダリー(花輪をつけた女)は額に、ヤシャスヴィニー(誉ある女)は両眉を守れ。
トリネートラー(三眼の女)は眉間に、ヤマガンターは鼻梁に。
シャンキニー(法螺貝を持つ女)は両目の間に、ドワーラヴァーシニー(門に住む女)は両耳に。
カーリカー(黒い女)は両頬を守れ、シャンカリー(平安をもたらす女)は耳元を守れ。
スガンダーは小鼻に、チャルチカーは上唇に。
アムリタカラー(甘露の一片)は下唇に、サラスヴァティー(弁財天)は舌に。
カウマーリーは歯を守れ、チャンディカーはのどの内側に。
チトラガンター(素晴らしい鈴)は喉ちんこを、マハ-マーヤーは硬口蓋に。
カーマークシー(愛のまなざしを持つ女)は顎を守れ、サルヴァマンガラー(すべてに吉祥なる女)は私の言葉を。
バドラカーリー(賢き黒い女)は首の背に、ダヌルダリー(弓を持つ女)は背骨に。
ニーラグリーヴァー(喉青き女)はのどの外面に、ナラクーバリーは食道を。
カドガダーリニー(剣を持つ女)は両肩を、ヴァジュラダーリニー(ヴァジュラを持つ女)は両腕を。
ダンディニー(杖を持つ女)は両手を守れ。アンビカーは手の指を。
シューレーシュワリー(矛の自在主)は爪を守れ、ナレーシュワリー(葦の自在主)は両脇を守れ。
心の嘆きを消す大女神は乳房を守れ。
ラリターデーヴィー(あでやかな女神)は胸を、シューラダーリニー(矛を持つ女)は腹に。
カーミニー(恋する女)はへそを守れ、グヒェーシュワリー(秘密の自在主)は秘部を。
ブータナーター(悪霊の救世主)は陰茎を、マヒシャヴァーヒニー(水牛に乗る女)は睾丸を。
バガヴァティー(尊き女)は尻を守れ、ヴィンディヤヴァーシニーは両膝を。
マハーバラー(偉大な力の女)は両脛を、ヴィナーヤキー(障害を除く女)は膝の間に。
ナーラシンヒー(人獅子女)はくるぶしに、アミトージャシー(限りない活力の女)は足の甲に。
シュリーダリーは足の指を、タラヴァーシニー(地表に住む女)は足の裏を。
ダンシュトラカラーラー(牙をむき出す女)は爪を、ウールドヴァケーシニー(髪逆立つ女)は髪を。
カウベーリーは毛穴を、ヴァーギーシュワリー(言葉の自在主)は皮膚を。
パールヴァティーは血と骨髄と肉と骨と脂肪を。
カーララートリー(終末の夜)は内臓を、ムクテーシュワリー(冠の自在主)は胆汁を。
パドマーヴァティー(蓮華を持つ女)は心臓に、チューダーマニ(髷の宝珠)は粘液に。
ジュワーラームキー(炎の顔の女)は爪の光輝を、アベーディヤー(非二元の女)はすべての関節に。
ブラフマーニーよ、私の精液を守れ。チャトレーシュワリー(傘の自在主)は影を。
ダルマチャーリニー(ダルマの実践者)よ、私の自我と心と理性と、
プラーナ気とアパーナ気とヴィヤーナ気とサマーナ気とウダーナ気を守れ。
チャクリニー(円盤を持つ女)は、栄誉と名声と富貴を常に守れ。
インドラーニーよ、私の家系を守れ。チャンディカーよ、私の家畜を守れ。
マハーラクシュミーは子供たちを守れ。バイラヴィー(恐るべき女)は妻を守れ。
クシェーマカーリー(安穏をもたらす黒い女)は道を守れ。ヴィジャヤー(勝利の女)はあらゆるところを守れ。
鎧がなく、守護がないところ、
そのようなところをすべて守れ、罪悪を滅ぼすジャヤンティー・デーヴィー(常に勝利する女神)よ。
もし幸せを願うならば、この鎧を着けずには一歩も進んではいけない。
常にこの鎧をまとって進むならば、どこに行こうとも、
そこで財を獲得し、いかなる望みもかなえる勝利を得る。
何を望もうとも、それを必ず手に入れる。
その者は地上では比類なき、最高の権力を得るだろう。
戦いでは決して敗れることなく、何ものも恐れるもののない人となる。
この鎧を身にまとう人は、三界のどこでもあがめられるだろう。
これが、神々にさえ得難い、女神の鎧である。
自己を制して、信念を持って、毎日、朝・昼・夕にこれを読誦するならば、
その者は神性の一片にあずかるだろう。
また、三界において無敵となり、
100年以上生きるだろう。
皮膚病や天然痘などの病気はすべて消えさる。
植物性の毒、動物性の毒、調合した毒、
地上のあらゆる呪術とマントラとヤントラ、
地上の動くもの、空を動くもの、水生のもの、
マーラ(魔王)、ダーキニー、シャーキニー、
空中を動く恐ろしいもの、強力なダーキニー、
グラハ(憑きもの)、ブータ(悪霊)、ピシャーチャ(食人鬼)、ヤークシャ(食人鬼)、ガンダルヴァ、ラークシャサ、
ブラフマラークシャサ、ヴェーターラ(屍鬼)、クーシュマーンダ、バイラヴァなど、
心にこの鎧をまとっているならば、これらはその人に出会うと消えてしまう。
彼は王から高く尊崇され、栄誉に輝くだろう。これは威力を増大する最高のものである。
まずこの鎧をまとってから、デーヴィー・マーハートミャを唱えよ。
彼の子孫は地上に連綿と続く。
彼はマハーマーヤーの恩寵により、
臨終のときには至高の境界に到達する。」