要約「シクシャー・サムッチャヤ」(3)「菩提心」
◎菩提心
ガンダヴューハ・スートラには、次のように説かれている。
「菩提心は種子の如し。そこから一切のブッダの方が生じるが故に。
菩提心は善き田畑の如し。そこから衆生の清き法が生長するが故に。
菩提心は大地の如し。一切世間のよりどころとなるが故に。
菩提心は慈悲に満ちた父の如し。もろもろの菩薩を訓練し、導き、守護するが故に。
菩提心は如意宝珠の如し。一切の使命を成就するが故に。
菩提心は鋭い剣の如し。一切の煩悩の首を断ち切るが故に。
菩提心は鋭い斧の如し。一切の苦しみの樹を伐るが故に。
菩提心はつりざおの如し。輪廻の海から衆生をつりあげるが故に。
菩提心はこのように、無量殊勝なる功徳を成就するものなのである。」
タターガタグヒャ・スートラ(如来秘密経)には、次のように説かれている。
「菩提心を発するためには、深心不退なるべし。
深心不退なるためには、よく大悲を発すべし。
よく大悲を発するには、もろもろの衆生を見捨てることなかれ。
もし己の楽に愛著しなければ、もろもろの衆生を見捨てることはない。」
アパララージャーヴァヴァーダカ・スートラには、次のように説かれている。
「大王よ、もし布施のパーラミターを学び、戒のパーラミターを学び、忍辱のパーラミターを学び、精進のパーラミターを学び、禅定のパーラミターを学び、智慧のパーラミターを学ぶならば、一切の行を行じ、一切を利することができ、最上の正覚を得ることもできる。
よって、浄信を持ち、利他の決意をせよ。
いかなる行動をする時も、とどまるときも、座るときも、寝る時も、夢の中でも、食事の最中でも、常に利他の心を念じよ。
もろもろのブッダ、菩薩、解脱者、凡夫等が持つ過去・現在・未来の一切の善根を観察し、随喜すべし。
また一切のブッダ、菩薩、解脱者たちの供養の行ないを随喜し、一切の衆生に平等に回向し、一切の衆生を一切智智へと導くべし。
あまねく皆がブッダのダルマを完成し、無上の正覚を得るようにと、一日三回、回向をすべし。
大王よ、汝、このような正行をもって王であるならば、王の財宝を捨てることなく、かつ菩提行を完成することもできるだろう。」
また、同じ経典に、次のようにも説かれている。
「大王よ、汝、かつて過去世において菩提心を発したが故に、何度も天界に生まれ、神の王インドラとなり、また人間に生まれて王となった。これは、ただ一度、菩提心を発したその善根の力である。」
-
前の記事
要約「シクシャー・サムッチャヤ」(2)「信」 -
次の記事
「菩提心」⑤