要約「シクシャー・サムッチャヤ」(14)「根本罪のまとめ」
◎根本罪のまとめ
根本罪について、その意味をよく理解できるように、以下に「サングラハ・カーリカー」の11の詩を説く。
1.三宝の所有物を盗むことをはじめ、ブッダが重罪と説いた罪を、正法を排する者は犯す。
2.たとえ破戒した出家修行者といえども、彼に乱暴な言葉を言ったり、彼の袈裟を盗んだり、獄につないだり、あるいは還俗させたりした者は、罪となる。
3.五逆の罪を犯すこと、誤った見解にとらわれること、および村や町を破壊すること、これを根本罪という。
4.空性を悟っていないのに空性について論議する。仏道の中にありながら、正覚の道を修習しない。これを根本罪という。
5.基本的な戒律を捨てて、大乗の果報を得たいと願う。また、他者の愛著やとらわれを断じさせない。これを根本罪という。
6.他者を批判しつつ、自分の徳を称賛する。あるいは現世に執着し、称賛を求めるが故に、他人を害する。これを根本罪という。
7.あるいはまた、迷妄なるが故に、自分は深遠なる智慧を得たと吹聴する。あるいは出家修行者に罰を与える。これを根本罪という。
8.これらの根本罪にとらわれることによって、寂静の瞑想を捨てる。これを根本罪という。
9.菩提心を捨てること、乞食者が来ても施さないこと、これを根本罪という。
10.清浄一心なる者を恭敬せず、愛欲に染められた心によって正法を誹謗する。これを根本罪という。
11.これらの根本罪を犯すならば、大地獄に落ちる。ゆえにアーカーシャガルバやブッダの御前にて、懺悔をすべし。
◎四つの悪法
プラヴラジャーンタラーヤ・スートラ(出家障害経)には、このように説かれている。
「在家者にして、次の四つの悪法を行なう者は、盲目、聾唖、または奴隷として生まれ、常に他者を誹謗し、全く楽しみのない人生を送る者となる。あるいはラクダ、イノシシ、犬、毒蛇などとして生まれる。その四つとは何か。
①ブッダの法において、衆生が、輪廻の束縛から自らを解放したいと思い、出家したいと思い、聖なる道を歩みたいと思っているのに、それを邪魔すること。
②財産に愛著し、親族に愛著し、カルマの法則を信じず、親族が出家したいと願っているのにそれを邪魔すること。
③正法を誹謗すること。
④出家修行者を害すること。」