菩薩の道(2)「持戒と無垢」
2.持戒の完成--汚れを離れる
菩薩の第二の修行は、戒律の完成の修行です。
それは基本的な十戒はもちろん、さまざまな菩薩の戒律も含め、戒を徹底して守ることです。
他者との関係という菩薩の修行の観点から言うならば、最初の布施を「他者に幸福を与える実践」、次の持戒を「エゴによって他者に不幸を与えない実践」といえるかもしれない。
この完成によって至る境地は、「汚れがない」といわれる。まあこれはそのままですね。戒の実践、すなわち徹底して悪を避ける実践により、汚れがなくなるわけです。
基本的な戒は何度も書いていますが、もう一度復習しておきましょう。
仏教の十戒
・不殺生(非暴力)
・盗まない
・梵行(禁欲または不邪淫)
・嘘をつかない
・綺語を言わない
・悪口を言わない
・両舌をしない
・貪らない
・怒らない
・誤った見解を持たない
仏教の五戒
・不殺生(非暴力)
・盗まない
・梵行(禁欲または不邪淫)
・嘘をつかない
・酒を飲まない
ヨーガ・スートラの禁戒
・非暴力(不殺生)
・盗まない
・梵行(禁欲または不邪淫)
・正直(真実)
・貪らない
大乗仏教や密教は戒律にあまり厳しくないと勘違いしている人がいるかもしれませんが、大乗仏教でも密教でも、これらの基本的な戒を徹底して守ることが、まず土台となります。そしてその上に、菩薩としての戒や、密教の戒がやってくるのです。そして菩薩や密教の戒は、実際はこれら基本的な戒よりも遥かに厳しいものになります。
そして付け加えるならば、これは菩薩のプロセスですから、ここでいう「戒の完成」とは、単に自分が戒をしっかり守れるというだけではなく、他者にもしっかりと守らせる力とか、あるいはその人といるだけで他の人も戒を守りたくなるとか、そういう能力も含んでいるのではないかと思います。
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