yoga school kailas

至高者の祝福(9)「主の宇宙体の出現」

第二章 第4話 主の宇宙体の出現

 聖マイトレーヤは続けました。
『それぞれの力が相互調和し得ないため、宇宙を創造できずにいるのを見て、全能の主は、ご自身の神聖な力を用いて、マハト・タットヴァ、自我意識、五種の知覚器官、五種の行為器官、感覚意識、五種の粗雑な要素、五種の微細な要素などの中に、全く同時に入られたのです。

 不統一のこれら諸原理の中に入られると、主はそれらに潜在する力を、自らの活性力(クリヤー・シャクティ)によって刺激し、それら原理を結合させました。こうして主の宇宙体が創造されたのです。

 そして光り輝くその宇宙体は、すべての魂とともに、36万年間、未顕現の宇宙卵の中に住んでいたのでした。
 すべての魂を統括するがゆえ、それは全生物の真我であり、またそれはパラマートマー(至上の真我)の部分的顕現なのです。すべての被造物は、この主の宇宙体の中に姿をあらわすのです。

 そして至高者は、それぞれの諸原理を管理する神々の潜在力を目覚めさせるため、自らの輝きによってその宇宙体を照らし出されたのです。

 それによって、まず主の宇宙体に口が生じ、そこに火の神アグニが出現し、魂が言葉を発する力とともに、その中に入っていきました。
 次にその口の中に舌が生じ、そこにヴァルナ神が出現し、味覚を感じる力とともに、その中に入っていきました。
 さらに主の宇宙体には二つの鼻孔が生じ、そこにアシュヴィン双神が出現し、嗅覚を感じる力とともに、その中に入っていきました。
 次に主の宇宙体には二つの目が生じ、そこに太陽神トワシュターが出現し、視覚を感じる力とともに、その中に入っていきました。
 さらに主の宇宙体には皮膚が出じ、そこに風神ヴァーユが出現し、触覚を感じる力とともに、その中に入っていきました。
 さらに主の宇宙体には二つの耳が生じ、そこにディグデーヴァター神が出現し、聴覚を感じる力とともに、その中に入っていきました。
 次に主の宇宙体にはもう一つの真皮が生じ、そこに穀物やハーブを支配する神々が出現し、かゆみを感じる力とともに、その中に入っていきました。
 次に主の宇宙体には陰茎が生じ、そこにプラジャーパティ神が出現し、生殖能力とともに、その中に入っていきました。
 さらに主の宇宙体には肛門が生じ、そこにミトラ神が出現し、排泄能力とともに、その中に入っていきました。
 次の主の宇宙体には二本の腕が生じ、そこにインドラ神が出現し、対象をつかんだり離したりする力とともに、その中に入っていきました。
 また主の宇宙体には二本の足が生じ、そこにヴィシュヌ神が出現し、移動する能力とともに、その中に入っていきました。
 次に主の宇宙体に理性(ブッディ)が生じ、そこにブラフマー神が出現し、理解力とともに、その中に入っていきました。
 さらに主の宇宙体には心臓が出じて、そこに月の神ソーマが出現し、感覚意識とともに、その中に入っていきました。
 続いて主の宇宙体には自我意識が発生し、そこにルドラ神が出現し、自我意識とともに、その中に入っていきました。
 さらに主の宇宙体にはチッタ(心)が生じて、そこにブラフマー神が出現し、善悪を見分ける力とともに、その中に入っていきました。

 その宇宙体の頭からは天上の世界、足からは地上の世界、さらにへそからは、天上と地上の間の世界が生まれました。そしてこれらの中に、サットヴァ・ラジャス・タマスから展開した、神々や人間などが住んでいるのです。
 このうち神々はサットヴァが優位であることにより天上に住むことになり、人間や動物はラジャス的な気質によって地上に住むようになったのです。そして精霊や神霊などは、主の宇宙体のへそから生じた、天上と地上の間の世界に住むようになったのでした。

 カーラ(時)、カルマ、魂の本性、それらを潜勢力として持ち、ヨーガマーヤーの顕現である身体を持たれる主の宇宙体のすべてを、ああ、ヴィドラよ、誰が表現できるでしょうか?
 それでも私は、ああ、親愛なるヴィドラよ、師の教えに基づいて、私の理解の及ぶ範囲で、至高者の栄光を歌おうと思うのです。
 
 かのブラフマー神は、ヨーガの実習によって智性を成熟させ、千年もの間、思索をめぐらせても、至高者が持たれる栄光を完全に理解することはできなかったのです。
 そのように、主のマーヤーとは、幻影を創る最高者たるブラフマー神さえ惑わせるものなのです。彼でさえマーヤーの限界を知られぬなら、どうして他のものがそれを知ることができるでしょう?
 どのような神々も到達することのできない主なる至高者に、私は心から帰依するのです。』

 

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする