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聖者の生涯「ナーロー」第二回(1)


20100113 聖者の生涯ナーロー②

◎ダーキニーの導き

 ナーローの続きですね。ナーローは、もう一回説明すると、ナーローパとかよく呼ばれますけども、チベット仏教のカギュー派の――カギュー派というのは、もともとマルパっていう人がいて、その弟子のミラレーパが有名になって、そのさらに弟子のカンポパっていう人がしっかりと体系を作った派なのですが、そのマルパのさらに師匠のインド人のヨーギーっていうかな、密教行者ですね。
 で、このナーロー、そしてマルパ、そしてミラレーパ、この三人がすごく有名なんですけども、実際その物語とか教えとかを見ると、このナーロー、そしてマルパ、そしてミラレーパ、この三人を見てみると、やっぱりね、このナーローっていうのはちょっと桁違いの聖者って感じがするね。まあその師匠のティローもそうなんだけど。ティローとナーローっていうのはちょっと桁が違う。
 これは前も言ったけども、例えばパドマサンバヴァね、グル・リンポチェといわれるパドマサンバヴァとかもそうだけども、それは人によって考え方とかが違うんだろうけど、例えばラーマクリシュナとかもそうかもしれない。たまに桁違いの聖者っていうのが、やっぱり現われるんだね、地球上にね。で、このナーローっていう人もちょっと他の聖者とは違う、大聖者的な人ですね。
 はい、で、その人の生涯だから――だからちょとね、ミラレーパとかマルパとか、あるいはその他の密教系の聖者の生涯、あるいは「84人の成就者」でやってるような密教行者ね、ああいう人たちもちょっと普通とは違う感じのストーリーが多いんですけども、ナーローはより一層高度なので、より一層分かりにくいところがあるんですね。でも、それはわれわれにも当てはめられる部分も結構あるので、ステージとしては非常に遥かな高みにある方の話なんですが、その中からわれわれがね、学べるところっていうかな、われわれの修行人生にも応用できるところをね、学んでいきたいと思います。
 はい、で、前回までのところをちょっと復習すると、非常に簡単にいうとね、ナーローがまず、いわゆる簡単にいうとインド一の仏教学者になったわけですね。もともと天才的な人だったので、インド一の仏教学者としてみんなから称賛を受けるような状態になりましたと。しかしそこにある日老婆がやって来て、一喝するわけですね。一喝っていうのは、「お前は――ナーローに対してね――真理の言葉はよく理解しているが、その真の意味を理解していない」と、こう言い放つわけだね。
 普通だったらそこで、そんな見ず知らずのお婆さんにそんなこと言われても、「何言ってんだ!」となるかもしれないけど、ナーローはただ謙虚だったというだけではなくて、おそらく鋭い智慧があったので、このお婆さんがただ者ではないっていうことを見抜いたわけだね。
 で、このお婆さんって実はダーキニー、つまり修行者を助ける女神の化身だったわけですね。で、そのお婆さんが言うには、「真の意味、真理の本当の意味を知りたかったら、お前の師匠、グルであるティローを探しに行け」というメッセージを残すわけですね。そこでナーローはみんなの反対を押し切って、つまりインド一の大学者という――イメージするとね、日本でいうと東大の、例えば仏教学の大教授の地位とかね。まあ、もっとでしょうね、恐らくね。ものすごい地位と名誉と称賛を受けていたそのすべてを捨てて、一人の密教行者になって、ティローを探しに行くわけですね。

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