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聖者の生涯「スレンドラナート・ミトラ」(5)

 ラーマクリシュナのような神の化身の弟子になることは、容易なことではありません。
 そのような偉大な師の教えは、弟子にとっては時に理解し難いこともあります。その教えは、時には愛によって、時には無関心によって、そして時には断固たる厳しさによってなされます。
 それらの師たちの生命は真理の中で確立し、真実を説き、神自身なのです。
 それゆえに彼らは、我らの一門は真理の中で揺らぐことはないと主張するのです。

 かつてスレンドラは師に、彼が行ってきた聖地巡礼について話しました。

スレンドラ:我々は休暇中にヴリンダーヴァンに行ってきました。
 訪問者達は絶えず金について悩まされていました。なぜなら聖職者達が、絶えず金を求めてくるのです。
 我々は彼らに、次の日カルカッタに発たねばなりませんと言いましたが、我々は逃げるようにして、その夜、カルカッタに帰りました。

師:なんだそれは? なんて恥知らずな奴なんだ! 次の日に帰るといいながらその日の夜に帰るなんて! まったく恥知らずだ!

スレンドラ:(当惑しながら)ここで我々は、世俗を離れて森の中で霊性の独居修行をしているババジ達(ヴィシュヌ派の聖者達)を見たのです。

師:おまえは彼らに何か差し上げたのか?

スレンドラ:いいえ、差し上げませんでした。

師:それは良くないことだよ。
 僧と神の信者達には何か施すべきだ。そのような人々と出会う時というのは、布施すべき時だという意味を持っているのだ。

 スレンドラは金持ちであり、貴族的でもあり、同時にとても傷つきやすい人物でした。
 Mは、師がスレンドラのエゴを彼の自宅で壊した、1881年のある日の出来事を、次のように描写しています。

「スレンドラは花輪を持って、師の首にかけようと近づきましたが、師はそれを持つと、わきに投げ捨てました。スレンドラのプライドはズタズタに傷つき、目から涙が溢れ出しました。
 彼は西のポーチに座っているラームとマノモハンその他の所に行きました。 そして悲しさで声を詰まらせながら、こう言いました。

『私は本当に腹が立っている。貧しいブラーフミンは、このようなものの価値が分かっているのだろうか。
 私はあの花輪に大金をはたいたのにも関わらず、師はお受け取りになることを拒否されたのだ。
 私は怒りを抑えきれず、信者たちに、『他の花輪が施される予定だったのだ』などと言ってしまいました。
 今それはすべて自分の過ちだったと気付きました。神は金では買うことができない。
 彼(神)は、虚栄心の強い人間には手に入れることはできないのだ。
 私は本当にうぬぼれていた。なぜ師のような偉大な方が、私のような者の崇拝を受けねばならないのか。
 私はこれもう以上、このように生きたくない!!』

 涙が頬を伝い、彼の胸を濡らしました。
 その頃、トライロキヤが部屋で賛歌を歌い始めました。
 師は至福に浸りながら、踊り始めました。そして師はさきほど投げ捨てた花輪をご自分の首にかけて、(スレンドラの)片手をつかみました。彼は体を揺らして歌い、踊りました。
 この時が、スレンドラの至福が解放された瞬間でした。師は彼の供物を受け入れて下さったのです。

 スレンドラは、

『神は間違いなく私のプライドを壊されたが、代わりに謙虚さと謙遜という宝物をくださった。』

と自分自身に言いました。

 キールタンが終わり、皆で師の周りに座って、楽しい会話を交わしました。
 師はスレンドラに『何か食べ物をくれないか』とおっしゃいました。
 そのとき師は、住居の中に入られました。そこで女性達が彼に挨拶をしました。
 食事の後、ラーマクリシュナはドッキネッショルに発ちました。」

 ある夜、スレンドラは、愛する師から冷たくされることに我慢がならなくなりました。
 彼はラーマクリシュナの所に行き、泣き始めました。
 彼は師の助けを求めて、教えに反する自分の過失をすべて告白しました。
 ラーマクリシュナは、スレンドラの後悔の涙により、彼の不純物が洗い流されたのをご覧になりました。

 師は彼を祝福し、

「母の祝福が、お前の人生に祝福をお与え下さるだろう。」

とおっしゃいました。

 ちょうど疾風が部屋の空気循環の悪さを取り除くように、神人の存在は、彼の心から世俗的な雰囲気を取り除いたのです。

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