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聖者の生涯「スレンドラナート・ミトラ」(3)

 スレンドラは、カーリー女神に大いに献身し、尽くしました。 彼は自宅に彼女の礼拝所を作り、彼女を大いなる愛をもって崇拝しました。
 ある日、師はスレンドラにおっしゃいました。

「母なる神の信者は、ダルマと モークシャ(解脱)を成就できるのだ。また彼はアルタ(富)とカーマ(欲望)も同様に享受している。
 かつて私は、女神様の子として、お前のヴィジョンを見た。おまえは二面性を持っている。ヨーガとボーガ(楽しみ)だ。そうでなければ、おまえの顔つきはもっと素っ気がなかっただろう。」

 スレンドラは、精神的訓練の力によりその習性が変わったとはいえ、飲酒の習慣をやめることはありませんでした。
 ラームチャンドラ・ダッタは、ラーマクリシュナの有名な信者の中に酒飲みがいるということを、好ましく思っていませんでした。もしこれが人々に知れ渡れば、師の名声が曇ってしまうと考えたのです。
 しかし彼がスレンドラにこれについて話そうとすると、いつもスレンドラはその話をすることを断るのでした。

 スレンドラはシャクティの崇拝者でした。よって、酒を飲むことは彼に取っては必ずしも罪ではなかったのです。
 ある日彼はラームチャンドラ・ダッタに言いました。

「なぜあなたはこのことについてそんなに悩んでいるのだ? 師は、それがもし悪いことだと思っていたら、私に注意していたはずだ。師はすべてをご存知なのだよ。」

 そこでラームチャンドラ・ダッタは、こう言い返しました。

「わかったよ! では今日、師を訪問しようではないか。彼は確実にやめろとおっしゃるだろう。」

 スレンドラはこれに同意しました。しかし彼は、師にこの件をこちらから言い出さないようにと言いました。

「もし師が私に酒をやめるようにとおっしゃれば、私は酒をやめよう」

 彼らがドッキネッショルに着いた時、師はバクルの木の下に忘我の状態で座っておられました。
 彼らが師にあいさつすると、師はスレンドラにこうおっしゃいました。

「スレシュよ。お前が酒を飲む時、普通の酒のように飲むべきかどうか、考えなければいけないよ。
 初めに母カーリーに捧げてから、プラサードとしていただくのだ。ただし、酔っぱらってしまわないように、細心の注意を払わなければいけない。
 決して、フラフラしたり、ボーッとしてはいけないよ。
 最初は普通の興奮状態のような感じになるだろう。でもすぐに霊的至福に導かれるだろう。」

 ラームチャンドラ・ダッタとスレンドラの二人はとても驚きました。
 師はスレンドラに決して禁酒するようにとはおっしゃりませんでしたが、その時以来、彼は、パーティーの席や、いつも酒を飲みたいと思っていた場所などで、酒を飲むことができなくなりました。
 師の指示にならい、毎晩彼は、自分が飲む前に、神に少量の酒を捧げました。
 妙なことに、彼のこの行為は、大きな信仰心で溢れていたのでした。

 その後しばらくしてスレンドラは、母なる神に向かって、子供のように泣き始めました。そしてただ彼女とだけ話したがるのでした。また彼はよく深い瞑想に没入しました。

 ラーマクリシュナの不可思議な神秘的影響力は、徐々にスレンドラを変化させました。
 そして酒の悪影響は、その後、彼を害することはありませんでした。

 神が人に恩寵をもたらす時、何が起きるのでしょうか。
 最初にエゴが壊され、謙虚になります。
 二つ目は、世俗的なことが楽しくなくなり、彼の意識は神の中に住むようになります。
 三つ目は、神と、神聖な集団に対して、抗し難い魅力を感じるようになります。
 明らかに師が、スレンドラを救済する役目を担われたのでした。
 彼はスレンドラが、現世の泥に覆われた宝石であることを見抜いていました。その泥を少し洗い流してあげると、スレンドラの内側には宝石の輝きが見つけられたのでした。
 師は彼の悪習に対して、決して叱ることはありませんでした。
 愛と愛情を弟子の上に注ぐことによって、彼のハートを制したのです。

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