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第七章 四つの無量心(1)

第七章 四つの無量心

 帰依の実践によって、魂の真の進化の道に確実に入った人は、
 衆生の幸福のために、衆生の心を養うでしょう。
 慈愛という土の中で、慈悲という花を咲かせてやり、
 喜という涼しい木陰の下で、平等心という純水でそれを世話するのです。

 これらの主要な四つの心が救済への道にリンクする限り、
 依然として輪廻の中にありながらも、その人は幸福感に満たされています。
 そしてそれは最終的に、自分自身と他の衆生を、
 輪廻から脱却させてくれるので、
 はかりしれないほど大きな特性だといわれるのです。

 不幸であり、欲求不満によって苦しめられている人、
 世俗的な幸福と富に夢中になっている人、執着している人、
 他者を嫌悪する人、
 菩薩にとっては彼らは皆、
 慈愛、慈悲、喜、および平等心の対象なのです。

 それらの修行には固定的な順序はありませんが、
 初心者はまず最初に平等心を開発するべきです。
 彼が平等心の修行によって、あらゆることに平然になったとき、
 彼は次第に容易に他の三つの特性を身につけることができるでしょう。

 この四つの心を向ける対象は、「一切の衆生」です。

 あなたは心の中で、このように思索するべきです。

 ――「父母および友達に愛着することや、
 敵を嫌うことは、悪い考え方である」と。

 無始の輪廻の生まれ変わりの中で、
 今生の私の敵でさえ、過去世では私の父や母であったことがあり、
 私に幸福を与えてくれました。
 私は、彼の親切へのお返しとして、彼に悪意を抱いてもよいのでしょうか?

 今生の私の友人さえ、過去世では私の敵であったことがあり、
 私に害をもたらしました。

 今生において私の友でも敵もない人も、過去世では私の友または敵でした。

 この輪廻の世界において絶対的な幸福や不幸などが存在しないのと同様に、
 特定の対象に愛着や嫌悪を持つことは、非合理的なのです。

 したがってまず最初に、あなたは、あなたの友達である人々に対しての愛著をやめなければいけません。

 そして他者と平等な者として彼らを扱わなければなりません。

 そしてあなたは、あなたの敵への嫌悪をやめなければいけませんし、また同様に、彼らを他者と平等な者として扱わなくてはいけません。

 愛著も嫌悪も抱いていない人と付き合う際には、
 将来的にあなたが彼らに対して偏った愛著や嫌悪の感情を持つ可能性を
 滅するように努力してください。

 そして、この世界のおとぎ話から自由になってください。

 幸福になるために、そして悲惨を取り除くために、
 「すべての衆生を平等に見よう」という唯一の欲望を持ってください。

 そうでなければ、あなたの無智の中に、苦痛の礎が築かれるでしょう。

 ああ! それらによって疲弊しきった衆生の心が、
 四無量心という安息の地で、安らげればいいのに!

 愛著と嫌悪の暴力によって苦しめられたすべての衆生が、
 それがもはや存在しない、四無量心という安息の地で、安らげればいいのに!
 そして、愛著と嫌悪から自由になれればいいのに!

 このように思索し、
 まず具体的な身近な人々に対する思索から始め、
 一人、二人、三人と、思索の対象を増やしていき、
 国中の人々、世界中の人々、そして全宇宙の衆生に至るまで、
 熟考をどんどん進めてください。

 この教えが身についてきたかどうかの基準は、
 あなた自身、友達および敵、そしてすべての衆生を、平等に見ることができるようになることです。

 そして真実には、すべては心であり、広大な空のような存在なのです。
 あなたの心を、それに関するすべての誤った概念から解放させてください、
 初めからそこにあり、終わることのない、完全に開いている根源的な心の中で落ち着いてください。

 この教えが身についてきたかどうかの基準は、
 深遠で静かな智慧が生まれ出ることです。

 これらの教えの実践によって、心がすべての側面で寂静になったとき、
 その寂静なる平等心をもって、すべての衆生について考えてください

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