第一章 帰依
「菩薩道の虹の宝飾」
このシリーズは、マイトレーヤとアサンガの作とされる「マハーヤーナスートラーランカーラ(大乗荘厳経論)」より、若干の詩句を抜き出し、松川慧照の個人的なアレンジも加えてわかりやすくまとめたものです。
オーム すべての仏陀と菩薩方に帰依し奉ります。
序
真実を知る私は、ここに真実を明らかにする。
衆生を苦しみから救済するために、
苦しむ衆生への憐みのゆえに、
無垢なる言葉と詩をもって、
最上の道を示すのである。
金属が加工されて器にされた如く
蓮華が開花した如く
飢えた者のために美食が調理された如く
かの真理の法も、今この論によって開花し、よく説明され、最上の喜楽を放つ。
あたかも像が、装飾によってよりその素晴らしさを増し、それを見た人々に優れた歓喜が生ずるごとく、
真理の法は、すぐれた説法によってよりその素晴らしさを増し、もろもろの賢者に優れた歓喜を生じさせる。
あたかも本物の素晴らしい宝石も、その価値を理解できない人には無価値の如く
真理の法も、それを理解できない人には価値がない。
ゆえに、多くの人々に真理の法の満足を与えるために、ここにこの教えを説くのである。
第一章 帰依
何人でも、実にこの大乗において三宝帰依に赴く者は、三宝帰依に赴く者の中で最上の者である。
この菩薩道を歩くという決心はなされがたいがゆえに、
それは数千カルパを経てもなされがたいがゆえに、
そしてそれはすべての衆生に恩恵を与えるがゆえに、
それゆえに、この大乗における帰依とは最上の帰依なのである。
何人でも、すべての衆生を救うために発心を起こす者は、道においても、叡智においても、素晴らしい者である。
ニルヴァーナも輪廻も一つの価値であるとみなす者は、智者であると知られるべきである。
この者は、すべてにあまねく偏在するようになるであろう。
悟りを目指すこと、
どんな苦しみからも退かずに進み続けること、
もろもろの仏陀と等しい境地を目指すこと、
これが三つの優れた勇猛心である。
菩薩は、菩提心を種子とし
智慧の完成を母とし
功徳と智慧を母胎とし
大いなる憐みの心を乳母とする。
このような菩薩は、
素晴らしい相を持ち、
衆生を救済する力と、
大いなる楽を身にそなえるのである。
大乗の道の帰依者には、八つの果報がある。
1.大いなる功徳を得る。
2.三界から称賛される。
3.この世においても楽を得る。
4.自己の苦しみが滅尽し、他者の苦しみをも滅尽させる。
5.悟りの最上の楽を得る。
6.法身を得る。
7.悪しき薫習が尽きる。
8.ニルヴァーナと輪廻の両方を捨て、無住処ニルヴァーナに至る。
大いなる意味を有するこの帰依の道を行く者は、
功徳が無量に増大し、
憐れみと決意によってこの世界を満たし、
そして偉大なる真理の教えを、この世界に広めるだろう。
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