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母なる神(6-7)

◎マハーサラスヴァティー(偉大なる完全性の女神)

 マハーサラスヴァティー(偉大なる完全性の女神)は、母なる神の「行為の力」を表現し、その完璧さと秩序の精神をあらわしている。四大女神のうち、最も若々しいけれども、物事を遂行する能力にかけては最も技量に長け、地上に最も近いところに立っている。
 マヘーシュワリー(偉大なる自在な叡智の女神)は世界の諸々の力に大まかな線を引き、マハーカーリー(偉大なる力の女神)は世界の諸々の力がはらむエネルギーと勢いを実際に働かせ、マハーラクシュミー(偉大なる美と調和の女神)は世界の諸々の力が秘めるリズムと節度を発見する。
 そしてマハーサラスヴァティー(偉大なる完全性の女神)は、世界の諸々の力が生み出す組織や手並みをはじめ、それらの様々な部分同士の関係や、それらの様々な力同士の効果的な組み合わせや、そこから得られる結果と達成の常に変わる事なき正確さなどを、詳細にわたって統括するのである。
 物事を取り扱ったり処理したりするときのコツや技術や技能にこそ、彼女の本領はある。彼女は己の本性に、詳細で正確な知識と、きめ細やかな粘り強さと、そして名匠に特有な直感的精神と意識を帯びた手と違いを見分ける目とが一つになって生み出す正確さとを、すべてそなえているため、自分の選んだ者たちに、これらを分かち与える事ができるのである。
 この力が、諸々の世界を建設し、組織し、取り仕切り、分類するときの、腕のよい名工として、強靱で周到、周到で効果的な力を発するのである。
 彼女が自然の変容と造りかえに着手するとき、その営みは、骨の折れる、事細かな作業となって、私たちのせっかちな目にはしばしば果てることを知らぬ遅々たるもののようにも見えるが、その実それは、終始一貫した完全なものであり、欠点がない。何事につけても、行為をするときの彼女の意思は、細心で気を抜くことがなく、しかも倦むことを知らぬという点にある。
 彼女は、私たちの上に親しく身をかがめては、どんな事細かな点についても手を取って注意してくださり、どんなに些細な欠点や亀裂や歪みや不完全さでも見つけ出して、すでに為された事柄とこれから為されるべき事柄の一切を、正確に勘案・考量してくださるのである。
 彼女の注意・注目にとっては、小さすぎるものや些末に見えるものなど一つとしてなく、どんな微妙なものも、どんなにうまく装われたものも、そしてまた、どんなに深く隠れ潜んだものも、その目を逃れることは不可能である。どんな部分も、倦むことなく、作っては壊し、壊しては作る作業を重ねられることで、ついにはそれ自身の真の形態にまでこぎ着けてしまい、全体の中でまさにぴしゃりとした場所に収まって、本来の目的を正確に遂げてしまう。
 物事を整えてはまた整え直す、その一貫した勤勉の精神を通して、彼女は、必要なもの一切とそれに対処すべき方法を一目で見抜き、彼女の直感は、何を選んで何を捨てたらよいのかを察知して、まさに適切な道具と、適切な時と、適切な条件と、適切なプロセスとを、首尾よく決定する。
 不注意、怠慢、怠惰は、彼女が忌み嫌うものであり、投げやりも、拙速も、ごまかしも、不器用も、ほどほども、期待はずれも、さらにはまた、道具や機能の誤用や濫用をはじめ、手つかずに終わっている仕事や、やりかけで放り出されてしまっている仕事なども、すべて彼女の気質とは無縁なものであり、彼女を侮辱するものである。
 そのようなわけで、母なる神のそなえているあらゆる力の中でも、マハーサラスヴァティー(偉大なる完全性の女神)によって表現されている力こそが、人間と、人間のおびただしい欠点とに対する、最も辛抱強い力なのだといってよい。
 私たちの意思がひたむきで、率直で、誠実なものであれば、彼女の手は、優しい微笑みを絶やすことのない親しくかいがいしい態度で、私たちが失敗を重ねた後でも、すぐにそっぽを向いたりがっかりしたりするどころか、かえっていっそう粘り強く、私たちの一挙手一投足を支えてくださるはずだ。しかし彼女はどのような二心をも容赦せず、わざとらしさや自己欺瞞などに対しては、情けも容赦もない。
 私たちが不足しているときには母のように、私たちが困っているときには友のように、いつも静かに指導と助言を与えてくれる存在として、そしてまた、憂鬱や不機嫌や抑鬱の雲は輝かしいほほえみで吹き飛ばし、どんなときにもさしのべられる助けの存在を私たちにいつも思い起こさせては、太陽のような永遠の輝きを指し示してくれる存在として、彼女は私たちを、より高い本性がそなえているはずの欠けるところなき完全性へと駆り立ててくださるのだ。その深く持続的な熱意という点で、静かで揺るぎない態度と辛抱強さを示しているのである。

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