心を変革する鋭利な戦輪(1)
心を変革する鋭利な戦輪
※この作品は、ダルマラクシタの作品をもとに、皆さんの日々の修習に有益と思われる部分を私が抜粋要約してまとめたものです。
松川慧照
三宝に礼拝いたします。
これは、敵の体の急所を切り裂く戦輪(チャクラ)である。
憤怒尊ヤマーンタカに礼拝いたします。
クジャクたちが、猛毒に満ちたジャングルを歩き回り、
たとえ、そこに魅力的な薬草の庭園を見つけたとしても、
クジャクたちは、そこに喜びを見い出さない――
なぜならクジャクは、猛毒を食べて繁栄するからである。
同様に、英雄たる菩薩たちが、輪廻というジャングルに入り、
たとえ、そこに幸福という美しく見える庭園を見つけたとしても、
英雄たちは、そこに執着することはないだろう――
なぜなら、英雄たちは、苦しみという森で繁栄するからである。
幸福を貪欲に追い求める者たちは、
その臆病さゆえに、苦しみへと投げ込まれる。
苦しみを喜んで抱きしめる菩薩たちは、
常に、その勇猛さゆえに、幸福にとどまる。
今ここに、猛毒のジャングルが如き欲望がある。
クジャクのような英雄たちだけが、それを歓喜できる。
しかし、カラスのような臆病者たちにとって、それは死を意味する。
自己の欲望だけを求める者たちが、どうしてそのような毒を消化できようか?
その者たちが、カラスのように、他者の苦悩にまで手を出したら、
彼らが解脱するチャンスは、結果的に失われてしまうだろう。
ゆえに、クジャクの如き英雄たちは、
毒のジャングルが如き苦悩を、不死の妙薬へと変え、
そして、輪廻というジャングルに入らねばならぬ――
苦悩を抱きしめ、衆生の毒を滅ぼさねばならぬ。
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