yoga school kailas

帰依しなさい、帰依しなさい

 最期が近づくにつれ、ホーリーマザーは長く座っていることができなくなっていかれた。しかし寝ておられるときも、彼女がジャパを続けておられることに私は気づいた。
 ジャイラームヴァティで、何かの用事で夜中の一時か二時に彼女を起こさなければならないことがあったとき、彼女はいつもすぐにお返事をなさった。私が、お眠りになっていなかったのですかとお聞きすると、彼女は、

「仕方ないでしょう。私の子供たちは必死の思いでやって来て、私からイニシエーションを受けたのです。でもある者は規則正しくジャパをしていないし、全くやっていない人もいます。私は彼らの荷物を引き受けたのだから、彼らの世話をしなくてはならないでしょう? だから彼らのためにジャパをしているのです。私は彼らのために、
『おお主よ、彼らの霊的な意識を目覚めさせてください。彼らに解脱をお与えください。この世は悲しみとみじめさの泉です。彼らがそこへ戻ることのないよう、お見守りください』
と、師にお祈りしているのです。」

とおっしゃった。そう言いつつ彼女はゆっくりと起き上がってお座りになった。
 彼女はお続けになった。

「彼らは熱烈な気持ちでイニシエーションを受けました。それなのにどうして修行をしないのでしょう? そんなに難しいことなのかしら。少しの修行で大きな喜びを得ることができるというのに。ああ、ヨギン・マーと私は、なんという至福を味わいながらヴリンダ―ヴァンで長い時間ジャパをして過ごしたことでしょう! 蚊にたかられて顔がはれても、気づきませんでした。」

 
 ある日、ホーリーマザーはおっしゃった。
 
「どんなにジャパをしても、どんなに働いても、すべては何にもなりません。マハーマーヤーが道を開けてくださらない限り、人には何もできないのです。ああ、束縛された魂たち! 帰依しなさい、帰依しなさい。そうして初めてあなた方を憐れんで、彼女が道を開けてくださるのです。」

 こう言って彼女は、師の生涯におけるカーマールプクルでの出来事の話をなさった。

「ジェシュタ月のある日の夕方に大雨が降りました。いたるところがあふれた水に覆われました。師は水につかってドンパダ近くの大通りを歩いておられました。そこにはたくさんの魚の群れが集まっていて、人々が棒でたたいて魚を殺していました。
 一匹の魚が師のもとに来て、足元をグルグルとまわりました。師はそれに気づいて、
『おい、この魚を殺すなよ。これは私の足元にまとわりついている。私に帰依しているのだ。できるならだれかこの魚を池まで運んで放してやっておくれ』
とおっしゃいました。それから師はご自分で魚を放してやり、家に帰ってから、
『おお、この魚のように帰依してはじめて、人は神の庇護を得ることができるのだ』
とおっしゃいました。」

(『ホーリーマザーの福音』より)

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