創造と完成
修行の第一段階において、カルマや心の汚れの浄化が絶対に必要です。
そのためにはまず、懺悔の修行を行なうと良いでしょう。そしてヴァジュラサットヴァのマントラも有効です。
これらの実践によって、実生活においてさまざまな場面で苦悩を経験し、それに耐え、心を動かさない実践によって、悪業や悪しき心が浄化されていきます。
次に、高い存在への供養その他によって、功徳を積むことが重要です。
こうして徳の光を増し、心の汚れを浄化し、高い存在と一体化する準備が徐々に整ってきます。
この上に、密教においては、その高い存在と一体化する上において、自分の高位の新しい姿かたちを作り上げるための、創造の段階の瞑想が必要になってきます。つまり、サマーディの境地において、自分の身体を、実体のないある特定の神や仏陀の姿に変身させる練習を、何度も何度も行なうのです。
この創造の段階の瞑想とは、別の言い方をすると、我々が生きながらにして死に、そして神や仏陀の身体として再び生まれ変わるプロセスの実践ということができます。
これは最初は単なるイメージに過ぎず、実体を伴うものではありませんが、瞑想に熟達すると、実体を伴うようになります。つまり本当に生きながらにして生まれ変わり、新たな身体を得るのです。
この、生きながらの死、生きながらの死後の世界、生きながらの再生のプロセスにおいて、実際に効果を狙って組み立てられた、さまざまな瞑想プロセスがあります。
そしてこの後に、「完成の段階」と呼ばれる瞑想プロセスがあります。
ここにおいては、気道・生命エネルギー・ビンドゥという三つの概念が非常に重要になってきます。
そしてここで出てくるのが、本当の意味でのクンダリニー・ヨーガ、あるいはトゥモと呼ばれる修行なのです。今、日本や欧米でクンダリーニ・ヨーガとかクンダリニー・ヨーガと呼ばれているものの多くは、本当のクンダリニー・ヨーガではありません。
クンダリニーあるいはトゥモの炎と呼ばれる神秘的な生命力の炎の力で、我々の意識は高次元に引き上げられ、拡大していきます。
これらの創造の段階・完成の段階を通じて、我々は、イダム(自分の守護尊)とその女尊の子供として生まれ変わるのです。これが、一つの修行の成就の段階といえます。