光に行け
お釈迦様のおっしゃっている基本的な戒め(十善、五戒)をまとめるならば、次のようになるでしょう。
①身体に関する善の道
1.他の生き物に害を加えない。
2.盗みをしない。
3.一切の性的行為をしない。
それが無理ならば、少なくとも恋人や配偶者以外との性的行為をしない。
4.酒を飲まない。
②言葉に関する善の道
1.うそをつかない。
2.意味のない冗談などを言わない。
3.悪口を言わない。
4.陰口や、人の仲を裂くような言葉を言わない。
③心に関する善の道
1.執着・むさぼりを断つ。
2.怒り・憎しみ・嫌悪を断つ。
3.真理から外れた誤った考え方を断つ。
心に関しては、気をつけなければならないことはさらに数多くあります。物惜しみ、偽り、怠惰、慢心、自己の容姿や知識や能力などに関するうぬぼれなどです。
これらを、自らの敵のように見なしてください。
心において、特に「怒り・憎しみ・嫌悪」には、気をつけてください。
「忍辱に等しい苦行はない」と言われます。
また、「数千カルパ(何度も宇宙が創造され破壊されるほどの長い時間)にわたって積み重ねられた功徳も、怒りによって一瞬のうちに打ち砕かれる」と、シャーンティデーヴァも説いています。
よって怒りを起こさず、忍辱の修行にはげまなければなりません。
「この人は私を非難した。この人は私を苦しめた。この人は私にこんなことをした。」・・・と、こんなくだらないことばかり考える人の心には、憎しみ・怒りの思いが増し、その思いはその人自身を腐らせ、傷つけるのです。これには何のメリットもありません。
憎しみ・怒りを捨ててください。それがあなた自身に最も安らぎを与える道です。
また、現代は愛欲にまみれた時代です。愛欲が肯定され、奨励されています。しかし愛欲には多くのデメリットがあり、できるならば完全に断つべきです。それが無理ならば、前述のように、少なくとも自分の配偶者や恋人以外の対象に、愛欲を向けるべきではありません。
異性に関しては、その対象に応じて、友人のように、父母のように、子供のように、あるいは兄弟姉妹のように見なすべきです。それでももし愛欲が起こったなら、お釈迦様が説いたように、その身体の不浄性について瞑想すると良いでしょう。
この我が心は、常に頼りなく、怒りや愛欲やその他によって動揺しています。この心を、わが子のように、宝物のように、あるいは生命のように、しっかりと守らなければなりません。
そしてこの心を惑わせるさまざまな欲望を、悪獣のように、毒のように、敵のように、あるいは危険な炎のように見なし、それらから我が心を守らなければなりません。
そうして心を常に正しい思いの状態へと導くのです。
お釈迦様の一番弟子のサーリプッタは、この世において四つのタイプの人間がいると説いています。それは、
①光から光に行く人
②闇から闇に行く人
③光から闇に行く人
④闇から光に行く人
①番目は、前世から心を清め、徳を持ち、修行し、清らかな状態で生まれ、今生でも自然と正しく行き、修行し、より魂を清めていく人たちのことです。
②番目は、前世から心を汚し、悪をなし、汚れた状態で生まれ、今生でも自然と悪をなし、より魂を汚していく人たちのことです。
③番目は、前世で心を清め、徳を積み、修行し、清らかな状態で生まれてきたものの、今生でさまざまな環境や周りの人々に流され、道を誤り、魂を汚していっている人たちのことです。
④番目は、前世から心を汚し、悪をなし、汚れた状態で生まれたのですが、今生で良い縁が目覚め、善や真理を行おうと努力を始め、魂を清める道に入っていく人たちのことです。
これらのうち、当然、①か④の魂であってください。
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