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仏弟子の物語(9)「ピリンダ・ヴァッチャ」

ピリンダ・ヴァッチャ

 ピリンダ・ヴァッチャは、過去世において、世尊パドゥムッタラの時代に、ハンサヴァティーの大富豪の家に生まれた。

 あるとき、世尊パドゥムッタラの説法会に出席した彼は、そこで世尊パドゥムッタラの弟子で、神々に敬愛されることにおいて第一人者である者を見て、自分もそのような者になりたいという願いを起こした。

 そして死ぬまで善をおこなった後、天界と人間界を何度も生まれ変わり、世尊スメーダの時代に人間界に生まれた。そして世尊スメーダが世を去ったとき、世尊のストゥーパに供養をして、また出家教団に大いなる布施をなした。

 そこから死んで、再び天界と人間界を何度も生まれ変わった後、人間界で偉大なる王となり、多くの人々に五戒を守らせた。

 そして世尊釈迦牟尼の時代に、サーヴァッティのブラーフマナのヴァッチヤ姓の家に生まれ、ピリンダと名付けられた。

 そしてのちに彼は世を捨てて修行者となり、小ガンダーラーという神秘的な力を成就して、それによって自由に空を飛び、また他人の心が読めるようになった。そしてそのために、ラージャガハにおいて第一の所得と名声を持つ者となった。

 さてあるとき、世尊釈迦牟尼が完全な悟りを開いた後、布教のためにラージャガハへとやって来た。そしてそのとき以来、ピリンダ・ヴァッチャの神秘的な力は効力を失ってしまった。そこでピリンダ・ヴァッチャはこう考えた。

「私は師匠から、『大ガンダーラーが行われるところでは小ガンダーラーは効かない』ということをうかがっていた。そして出家修行者ゴータマが来て以来、私の神秘的な力は効力を失った。疑いなく出家修行者ゴータマは、大ガンダーラーの秘術を知っているに違いない。さあ、私は彼を訪ねて、その秘術を学び取ろう。」

 そこでピリンダ・ヴァッチャは、世尊釈迦牟尼を訪ね、恭しくこう言った。

「偉大なる出家修行者様、私はあなたのもとで、ヴィディヤー(神秘的な超能力という意味と、明智という意味がある)を学び取りたいのです。」

 世尊釈迦牟尼は、こう答えた。

「それでは、私のもとで出家しなさい。」

 ピリンダ・ヴァッチャは、おそらく大ガンダーラーの秘法を得るための準備行として、このような出家が必要なのだろうと思い、言われるままにお釈迦様のもとで出家した。

 そして世尊釈迦牟尼はピリンダ・ヴァッチャにダルマを説き、段階的に瞑想法を伝授した。ピリンダ・ヴァッチャは過去世からの機根をそなえていたので、どんどん修行を進め、ほどなくしてアラハットの境地に達した。

 さて、ところでピリンダ・ヴァッチャが過去世において偉大な王であったとき、多くの人々に五戒や真理のダルマを説き、それによって多くの人々が天界の神々として生まれ変わった。その神々たちは、そのときの恩を忘れることなく、ピリンダ・ヴァッチャがアラハットとなった後、朝に夕にとピリンダ・ヴァッチャのもとへ行って表敬した。そこで世尊は、弟子たちにこう言った。

「私の弟子たちの中で、神々たちに敬愛される者の中の第一人者は、このピリンダ・ヴァッチャである。」

 後にピリンダ・ヴァッチャは、自分がもともとは超能力を求めて世尊のもとへやってきて、しかしそれによって世尊に正しく導かれ、アラハットの境地に達したことを顧みて、次のような詩を唱えた。 

「私は、分別された諸法のうちで、最も優れたものに到達した。
 これは、私がよく至り得たものであって、悪しく至り得たものでも、よこしまに思いはかったものでもない。」

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