マルパの生涯(4)
輝けるナーランダーのヴィハーラ(精舎、僧院)に着いたとき、マルパはニュに言いました。
「ここには、ネパールのチテルパのグル、ナーローパとして知られる学識の深いマハーパンディタが住んでいらっしゃいます。そのお方から教えを受けに行きませんか? 嫌ですか?」
ニュは答えました。
「昔、ナーローパは学識のあるパンディタだった。しかし後になって、例のティローパのもとへ行き、学問を放り出し、今はクスルの瞑想をおこなっている。彼のような人のところへは行きたくないよ。あなたがもし私の使用人を続けるなら、私の金を一緒に使おう。だが一緒に来ないのなら、あなたにはほんの一粒だって金はあげないよ。インドには東にも西にも南にも北にも、太陽や月と同じほど有名な、学識のあるパンディタが大勢いる。私はその人たちに会いに行くよ。」
ニュは、ナーローパと何の縁もなかったので、マルパに金を一粒も渡さず、自分が望むグルに会うために、マルパと別れて行きました。
マルパは、少年出家者プラジュニャーシンハを探し出し、会いに行きました。マルパは二人のネパールの法友からの手紙を彼に渡し、今までの経緯をすべて話しました。
その少年出家者は言いました。
「グル・ナーローパは今、西インドのラバルに行っていて、ここにはいません。もうすぐ戻っていらっしゃるでしょう。その間は私のところにいてください。ネパールの法友の要望どおり、私があなたのお世話をいたしましょう。」
マルパはそこにとどまる予定でしたが、直感の優れたパンディタである弟子が、少年出家者プラジュニャーシンハのところへやって来て、言いました。
「今日か明日にでもグルが――今はプッラハリに着いていらっしゃいますが――ここにメッセージを送ってくるはずです。」
翌朝、一人のアトサラがやって来て、ナーローパのメッセージを伝えました。
「チベットからやってきた仏教徒が、あなたと共にいるでしょう。彼をプッラハリに連れてきなさい。」
そう言うと、使いの者は去っていきました。
マルパはプラジュニャーシンハに付き添われて、花で飾られた町の広場に行き、プッラハリの黄金の山の僧院に行きました。そこで少年出家者は、マルパをナーローパに紹介しました。栄光あるマハーパンディタ・ナーローパと顔を合わせると同時に、マルパは心から何度も平伏し、さらに金でできた多くの花を捧げました。
主ナーローパは言いました。
グルの予言のそのままに
私の息子、立派な器のマルパ・ロドゥは、
北の雪の国から
摂政を引き受けるために歓迎される。
ナーローパはそう言い、至高の喜びが込み上げてくるのを感じました。
マルパは主ナーローパに言いました。
「私には、金をたくさん持っている友人がいました。彼は、ネパール人のパインダパの愚かな発言にのみとらわれて、別のグルを探しに行ってしまいました。」
「その友人は、私と法縁がないのだ」と、主ナーローパは答えました。