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スワミ・トゥリヤーナンダの書簡集(39)

                         1915年5月24日
                         アルモラにて

 親愛なるXへ

 人は肉体を持つかぎり、幸と不幸を経験することになります。チャンドーギャ・ウパニシャッドにはこう記されています。

「人が肉体を自己と見なすかぎり、喜びと苦しみが止むことはない。」[第八巻、第十二章、一節] 

 肉体に執着して人生全体を過ごすことは、良いことではありません。同じウパニシャッドにはこう記されています。

「しかし、喜びも苦しみも肉体を自己と見なさない人には、触れることはない。」

 この肉体には形のない真我が住んでいて、それは善にも悪にも触れられることはありません。「わたしは肉体である。」――この態度のために、人は幸と不幸の犠牲になるのです。人は、「わたしは肉体ではなく、形のない真我である」という態度を培うことによって、幸と不幸の領域を超えようとすべきです。間違いなく、これによって多くの苦しみが減少することでしょう。

 この世界では、一切のものは思考によって作り出されています。人は考えた通りのものになります。もし人が始終肉体という考えをくどくどと繰り返す代わりに、ときどき自分自身を肉体を持たない真我であると考えるなら、それは間違いなく利益をもたらすでしょう。
 主イエスはこうおっしゃっています。
「持っている人はさらに与えられ、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。」[マルコ福音書、第四章、二十五節] 
 それはまさに真実です。われわれの師はよくこうおっしゃっていました。
「“わたしは何も成し遂げていない。わたしは罪人だ”などと言って、常に嘆き悲しむ者は、本当に何も成し遂げられず、罪人となるのだ。」 

 したがって、落胆に屈してはいけません。その代わりに、このような態度を培ってください。
「わたしは主の御名を繰り返し唱えている。なぜ恐れることがあろうか? 彼の恩寵によって、一切のわたしの困難は消えるだろう。」 

 こう言ってください。「母なる神に勝利あれ!」――そしてそのあと、彼女のことを積極的に考えようとするのです。

 このようにすれば、あなたは強さを手にするでしょう。もしあなたが怠惰さに屈するならば、そのままでいようとするあなたの傾向は続きます。もしあなたが自分の意志力を使って起き上がるなら、あなたの無気力は消え去ります。まさにあなたの身体の動作がさらなる強さを呼び起こすのです。
 人には大いなる熱意が必要なのです。師は気弱な態度を好まれず、弟子たちに恐れを知らない強盗の態度を取るよう励まされました。同様に、スワミ・ヴィヴェーカーナンダは、飽くことなくこう説きました。
「立ち上がれ、目覚めよ。そしてゴールに到達するまで立ち止まるな。」[カタ・ウパニシャッド、第一巻、第三章、十四節]

 けっして恐れてはいけません。主に祈ってください。彼は一切のことを好ましくしてくださるでしょう。彼は見知らぬ人ではありません。彼はあなたのものだということを心の底から知り、そして彼に祈ってください。一切のことはうまく行くでしょう。この肉体ははかないものですが、主は永遠です。あなたは彼を自分のものとしなくてはいけないのです。

 けっして落胆してはいけません。あなたの心の強さを呼び起こし、絶えず神のことを考えてください。彼は一切の避難所です。あなた自身を完全に彼に捧げ、安らいでください。一切の恐れと心配はおのずと去り、新たな強さがあなたのハートに流れ込んでくるでしょう。主に栄光あれ!

                       愛と最高の願いを込めて
                       トゥリヤーナンダ

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