yoga school kailas

パンチャーンガ・ヨーガ

 ヨーガや仏教の修行を本格的に進める上において、まず「信」を強く持つことが重要だ。なぜなら、それは未知の悟りを目指そうとしているからである。未知の領域を目指す上において、完全に納得して理解して道を進めるということはありえない。だからまずは先達の言葉、師の言葉、古から受け継がれてきた教えを、信じなければいけない。

 その信には、論理的信、直感的信、縁による信などがあるだろう。これらがすべてもてれば最高だ。

 この信を土台に、努力する性質を増大させなければならない。努力は重要である。信じた教えを、懸命に実践するのだ。なぜなら、カルマを超えようとしているのだから。薫習、つまり過去や過去世からの悪しき心の習性は、ほうっておけば消えない、だけではなくて増大する。そして自分にまだない善き習性も、努力無しでは身につかない。よってまず教えに対して信を持ち、そしてその信じた教えを実践するのだ。その教えが正しければ、当然、さまざまな精神的・肉体的・現象的結果が出てくるだろう。それによってより信が強まる。それによってよりいっそうの精進をする。

 このような修行の精進を土台として、日常生活において、念正智の修習をしなければならない。ここでいう念正智とは、いかに、教えに基づいて、日々、自己の心、言葉、行いを、修正していくかということだ。

 普通は修正はなかなかできない。それはカルマだから。たとえばある部分を刺激されると、必ず怒る。これはその人のカルマだ。これを変えろといってもなかなか難しい。

 しかし教えに信を持ち、各種の修行に精進するならば、自己の習性に修正が徐々にできるようになってくるのだ。この念正智の実践の度合いを徐々に深めていくこと、これが三番目の実践になる。

 そしてこの、
①信をもって教えを学ぶ
②各種の修行に励む
③実際の生活の中で、教えで身口意の修正に励む(念正智)

--これらに励むことで、その人の構成要素は、徐々に人間から神、そして聖者へと近づいていくだろう。

 そしてこれらの土台をもとに、やっと正しいサマーディに入ることができるのだ。

 サマーディとは、実際は広い意味がある。しかし正しいサマーディに入るには、
①高い世界の仏陀や神々や聖者への信を強めることにより、高い世界へ引っ張ってもらうと同時に、悪しき世界からプロテクトしてもらう。
②精進によって多くの徳を積み、悪業を滅することで、高い世界への道筋をつくる。
③日々の念正智により心とカルマを清める。
--これらの基礎が必要になるというわけだ。
 これらの基礎を固めることにより、以前は瞑想できなかった人が、瞑想できるようになって来る。

 瞑想とは、ただ座ってぼーっとしていればいいというわけではない。深い瞑想には、「入る」という感覚、圧倒的な世界の変化が必ずある。もちろん、そのような感覚がない瞑想も利益がないわけではないが、サマーディの扉を開くと、本当に「扉が開いた」ように、全く違う世界へと入っていくリアルな現実感がある。

 そしてこのサマーディの旅にも、さまざまな段階がある。よって、信、精進、日々の念正智、そして瞑想に深く入るプロセスを、繰り返し進めていく。

 そしてこのプロセスの流れの中で、少しずつ我々は、直接的に真理を悟るようになる。これにも段階がある。最初はごく小さなきづきかもしれない。しかしこれらのプロセスを日々進めることで、智慧はどんどん増大し、最終的には全智を得るのだ。

 これが仏教で五根・五力と呼ばれ、ヨーガ・スートラにも記述がある五段階の修行法の、実践的説明です。

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