パドマサンバヴァの秘密の教え(23)「秘密の帰依」
☆秘密の帰依
カルチェンの王女ツォギャルは、師にこう尋ねた。
「『秘密の帰依』とは、どのような対象に帰依するのですか?
どのような人が帰依するのですか?
どのような態度、方法によって、帰依をするのですか?
どのような特別の姿勢で帰依するのですか?
どのくらいの期間、帰依をするのですか?
どのような状況によって帰依をするのですか?
どのような目的、美徳が伴われるのですか?」
師はこうお答えになった。
「『秘密の帰依』に関しては、見解、瞑想、行為に帰依すべきである。
この帰依をする者のタイプは、悟りに到達することを望む、最も高い能力の者である。
態度、方法に関しては、見解、瞑想、行為、成就を用いて帰依をすべきである。
すなわち、確信を有する見解、経験を有する瞑想、平等の価値を有する行為をもって帰依をするのである。
特別の姿勢に関して、渇愛のない見解とは、ブッダフッドに到達する、あるいは輪廻から脱却することを願望しないという意味ではない。
不平等に陥ることのない、具体性の固定のない瞑想は、どんな通常な言葉によっても述べることはできない。
受容と拒絶のない行為とは、あらゆる区分に全く分類しないということではない。
期間は、悟りに到達するまで帰依をするのである。
状況は、これ以上の転生を望むことなく帰依することである。
目的や長所は、まさにこの一生の内に完全な悟りに到達することである。」
◎秘密の帰依の修行
ツォギャルはこう尋ねた。
「秘密の帰依において、どのような修行が必要なのですか?」
師パドマはこうお答えになった。
「まず最初に、三つの特別な修行がある。
1.悟りを有する『見解』に関して――
一切の衆生とブッダは同じ土台を持つのであるから、到達するためのブッダフッドはどこか他のところに存在するわけではないという確信を得ることの修習をすべきである。
現象と心に相違はないと理解することによって、現象と空性が不可分であるという確信を得ることを修習すべきである。
2.経験を有する『瞑想』の修行に関して――
心を外に向けておいてはならない。心を内に集中してもいけない。心を自然に自由のままにさせる修行をなしなさい。
3.『行為』に関して――
途切れることのない経験の修習をしなさい。
歩いているとき、動き回っているとき、横になっているとき、座っているときなどのどんなときでも、一瞬間でさえ心を乱さない訓練をしなさい。
次に、通常の修行がある。
1.たとえブッダそのものである心を悟ったとしても、グルを放棄してはいけない。
2.たとえ心そのものである現象を悟ったとしても、条件付けられた善根を中断してはいけない。
3.たとえ地獄の恐れがなくても、ほんのわずかな悪行さえ避けなさい。
4.たとえ悟りに対する望みを抱かなかったとしても、教えのどれをも汚してはいけない。
5.たとえ優れたサマーディを悟ったとしても、慢心したり、自慢をしてはいけない。
6.たとえ自と他の非二元性を理解したとしても、衆生への慈悲の思いをやめてはいけない。
7.たとえ輪廻とニルヴァーナの非二元性を悟ったとしても、独居して瞑想修行をなしなさい。」