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パドマサンバヴァの秘密の教え(111)「思考を動かすという危険な道」

 王はまた次のように問うた。

「何が人に、『思考を動かすという危険な道』を渡らせるのでしょうか?」

 師は次のようにお答えになった。

「瞑想中に概念的な思考が生じたならば、それが何であれ、それはあなた自身の心から生じたものである。
 心とは如何なる具体的な本質で構成されているわけでもないので、思考とはそれ自体が実在性を欠いている。空間に現れまた消失する雲のように、思考は心の内に生じてまた心の内に溶けていくのである。
 概念的な思考とは、生来のダルマターである。
『危険な道を渡る』とは、心が様々な思考の中へと移動するとき、注意をあなたはこの心そのものの内に向けるべきであるという意味である。
 誰もいない家の中へと入る泥棒のように、空の思考は如何なる方法をもってしても空の心を害することはできない。それが『思考を動かすという危険な隘路を渡った』と呼ばれるものである。」

 王は師に問うた。

「人はどのようにして『成就への不動の確信』を得ることができるのでしょうか?」

 師はお答えになった。

「聞きなさい、王よ。
 菩提心の覚醒した心は、因によって作られるものでもなければ、境遇によって破壊されるものでもない。それは巧みな仏陀によって作られたのでもなければ、賢い衆生によって作り上げられたのでもない。それはあなたの生まれながらの所有物として、あなたの内に初めから存在している。 
 それをあなたが師の口頭の教えにより認識したとき、心とは仏陀の先祖であるので、あなたが既に知っている人と出会うようなものなのである。
 王子が王位に昇りつめるように、不動の心を達成した後にこれを現実のものとする流れの中で、過去・現在・未来のすべての仏陀は悟りに目覚める。
 恐怖や怯えから自由で、最初から自然に存在するものに目覚めることが、『成就への不動の確信を得る』と呼ばれるものである。」

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