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パトゥル・リンポチェの生涯と教え(93)

◎パトゥル、二人の人殺しに会う

 あるときパトゥルは、ザチュカのテルカル洞窟(白いラバの洞窟)で暮らしていた。そこではパトゥルは、羊毛のマントにくるまって、その他は一切何も身に着けていない状態で瞑想修行を行なっていた。
 あるとき、誰かが助けを求める悲鳴が聞こえてきた。
 パトゥルはマントを脱ぎ捨てて、丘を走って降りて行った。
 その丘の下には二人の盗賊がおり、その隣には、彼らが刃物で刺殺した女性の遺体が横たわっていた。二人の盗賊は、その遺体から宝石類を剥ぎ取っていた。
 真っ裸のまま、パトゥルは木の杖を振り回しながら盗賊めがけて走って行った。
 この恐ろしい”亡霊”に恐れをなして、盗賊たちは宝石類を放り投げて、一目散に逃げだした。
 その不幸な女性は、数日前に盗賊の一人に口説かれて、駆け落ちをするように説得されていたのだった。彼女は、ザチュカの富裕層の地域の習慣として、サンゴ、トルコ石、メノウ、琥珀などの貴重な石から作られている多くの高価な装飾品を身に着けていた。
 まずパトゥルは、殺された女性の意識を解放するためにポワの儀式を行ない、彼女のために祈りを唱えた。それから彼女の宝石類をすべて集めて、ザギャル僧院に持って行った。彼女の代わりに、パトゥルはその僧院の巨大なマイトレーヤ・ブッダ像に、その宝石類を装飾品として捧げたのだった。

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