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パトゥル・リンポチェの生涯と教え(57)

◎九人兄弟がパトゥルを喜ばす

 あるときパトゥルは、ゾクチェンのリラ・トゥルクの家族に会いに、彼の家へと行った。その一家には九人兄弟がおり、その全員が出家僧の戒を受け、その二五三ある戒を守っていた。その九人の僧は皆、托鉢によって食を得ており、伝統的な黄土色の僧衣を着ていた。
 彼らを訪ねた後、パトゥルは隠遁地に戻りながら、こう意見を述べた。

「今日見たことから、ブッダのダルマがまだしばらくは続いていくということを確信した。」

◎パトゥル、テルトン・ソギャルの心を読む

 あるとき、テルトン・ソギャル・レラブ・リンパが、パトゥル・リンポチェと共に暮らしながら教えを受けていた。テルトン・ソギャルは、ゾクチェン僧院でダルマの勉強を始めたのだ。後年、彼の数多くの生徒の中に、ギャルワ・トゥブテン・ギャツォやダライ・ラマ十三世も加わった。

 ある日、スートラを学んでいた一人の若い僧が、パトゥルとテルトン・ソギャルと共に部屋の中に座りながら、一行一行それを書き写していた。彼はちょうど、以下の行を書き写していた。

菩薩たちに賛美を捧げることで
悪業が弱まり、内側から善業が増大する。

 しかし、若い僧はそのとき、それを間違って書き写していた。ちょうど書き写したのを読み返した若い僧は、困惑してパトゥルに尋ねた。

「菩薩たちに賛美を捧げることで、善業は弱まり、内側から悪業が増大する。――この行の意味は何ですか?」

 テルトン・ソギャルは、その少年の明らかな間違いを見て彼を嘲笑しそうになったが、かろうじて自分を抑え、ひそかにこう考えた。

「偉大なるパトゥル・リンポチェが、このような間抜けが馬鹿げた質問をするのを許すはずがない。」

「そうだ、そうだ!」

と、パトゥル・リンポチェはテルトン・ソギャルに向かって叫んだ。

「それはまさに真実ではないか? 悪業は内側から増大する! 悪業は内側から増大するよ!」

 ただちにテルトン・ソギャルは、師パトゥルが彼の心を正確に見抜き、彼が思いやりのない傲慢な思考を働かせていたことを完全に分かっておられたということに気づき、恥ずかしくなった。

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