パトゥル・リンポチェの生涯と教え(44)
◎ハゲタカの出没地におけるパトゥル
かつて、パトゥルとニョシュル・ルントクが山の原野に住み、瞑想修行をしていたときのことだった。彼らは完全に食糧を使い尽くしてしまった。パトゥルはルントクにこう言った。
「渓谷に住む遊牧民たちが、何匹かの羊の死体を捨てていた。暗くなったらそこへ降りて行って、その肉を持って帰ってきてくれ。」
ルントクはパトゥルに言われた通りにし、彼らは体力を回復させるために、かき集めてきたそれらの肉で、おいしい料理を作った。
翌朝パトゥルは、羊の死骸があった場所の上空を、ハゲワシの群が飛んでいるのを見た。
「おお、ルントク!」
パトゥルは叫んだ。
「もうこれ以上死骸を持ってきてはいけない! われわれはハゲワシの食糧を食べていたようだ!」
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