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パトゥル・リンポチェの生涯と教え(4)

◎慈悲、雄弁と勇敢さ

 パトゥルは、逞しい体と生まれつきの優しさ、そして鋭い知性を持った、皆に愛される子供だったので、すぐに周りから可愛がられ称賛される存在となった。彼は慈愛と慈悲に満ち溢れていた。決して他者に危害を加えることはしなかったし、危害を加えている人を黙認することもできなかった。屠殺されるために連れて行かれようとしている羊を見ると、突然泣き出し、しばらくの間は飲食を拒むのだった。

 パトゥルはまず最初にその慈悲の深さで有名となり、成長すると、その雄弁さで名を轟かせた。彼は、人々が狐を狩ったり他の生き物を殺すのを、説得してやめさせることができたのだ。

 遂には彼は、その勇敢さでも知られるようになった。例を出すと、パルゲの会計管理者のオンポ・コンチョが、厳しい法的な争いに巻き込まれてしまったことがあった。訴訟は、デルゲ王の公式の代理人によって審理が行なわれなければならないのである。

 この訴訟は、強力なダチュカの役人ブンシュル・トゥトプ・ナムギャルによって仕向けられたものだったが、パトゥルは、彼の口頭弁論を何度も打ち破って、ディベートにおける類まれな技術を証明し、オンポ・コンチョのためにこの訴訟に勝ったのだった。この驚くべき、まったく予期しなかった勝利の後、オンポ・コンチョは、このようなことを人々が口にするのを耳にした。

「あの若者が本当のパルゲのトゥルクであろうがなかろうが、度胸があるのは間違いない!」

 ジグメ・ギャルワイ・ニュグから、パトゥルはリクジン・ジグメ・リンパのロンチェン・ニンティク系統の前行についての教えを受けた。彼はこれらの教えを、少なくとも25回、根本グルから受けたのだった。パトゥルはこの修行と、それに加えてその他多くのヴァジュラヤーナの瞑想修行と読誦修行を完璧に成し遂げた。

 ジグメ・ギャルワイ・ニュグはパトゥルに、ロンチェン・ニンティクの伝統に従って、微細な気道とエネルギーの修行を含むヨーガ行を説いた。そして同様に、ゾクチェンの本質的な修行についての口頭の教えと個人的な指導も与えた。彼はパトゥルに、古代ニンマの伝統主要経典であるカマの「途切れない連続した伝承」から数多くのアビシェーカを授けたのだった。

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