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「プラーナの摂取」

◎プラーナの摂取

 はい、じゃあもうすこし話を進めると、大体人間っていうのはこの右と左の気道を使っているわけですが、それはね、鼻の穴と非常に関係がある。なぜかっていうと、外側からの気道の大きな入り口が鼻の穴なんです。 
 だからよく「鼻で呼吸しなさい」というのは、鼻で呼吸すると、気の流れが鼻から一旦頭に行くんだね。で、グーッと体に巡るという考え方があるんです。
 呼吸っていうのはね、呼吸もそうだし、食事もそうだし、水もそうだけど、ヨーガの考え方だと、単純にもちろん現代的なね、ミネラルとかたんぱく質とかいろいろなものを摂取しているという考え方もあるけども、それよりもメインはプラーナの摂取って考える。つまり空気中とかいろいろなところにプラーナがあるんです。
 プラーナというのはスターウォーズでいうフォース(笑)。そういったら分かるかもしれないけど。スターウォーズってやっぱり相当インド的世界観が入ってて、ちょっと私そんなにスターウォーズに詳しいわけじゃないんだけど(笑)、あの中でフォースの説明で、フォースは全てだと。フォースがないと何ものも一瞬たりとも存在できないと。あらゆる生命とか、生命じゃないものもフォースによって成り立っている、みたいなそんなセリフがあったと思うけど、あれをプラーナという言葉に置き換えると、まさにインドのヴェーダとかヨーガ経典に書いてある言葉になってしまう。
 プラーナというのは全てを成り立たせているエネルギーと考えていいです。あるいはラージャ・ヨーガ的な考え方をすると、例えば主体がありますと。主観がありますと。で、客体がありますと、ね。仏教的にいうと、こちら側のいわゆる眼、耳、鼻、舌、身、意というのがあります。つまり眼とか耳とか鼻とかいう感覚を感じる器官がありますと。で、対象としての色形とか、音とか、いろいろなものがありますと。でも、主観・主体があって、対象があっても、これだけでは何も起きないとヨーガでは考える。これをつなぐものが必要なんだね。これがプラーナです。だからプラーナ無しには一切の我々の感覚も存在しない。あるいはプラーナ無しでは一切の形も成立しないと。プラーナ無しではあらゆる存在もそうだし、経験もそうだし、何もできなくなりますよ、という考え方があるんだね。
 これはもうちょっと物理的に考えると、空気中にプラーナと呼ばれるものが遍満していると。空気だけじゃないんだけど、あらゆるものにプラーナというものは入っていると。我々の生命活動を動かしているのもプラーナだと。で、このプラーナを我々は、呼吸と似ているわけだけど、体の中にある悪いプラーナを常に出して、外側からいいプラーナを吸収しなきゃいけない。そのための方法が、呼吸が一番いいんですね。あれは、呼吸というのは、まあ酸素とプラーナというのは大分かぶるんだろうけど、プラーナそのものを体中に吸収しているんだと。
 それだけではなくて、食べ物を食べるという行為も、食べ物に含まれるプラーナを吸収しているんだという考え方がある。食べ物っていうのも本当はね、一番いいのは新鮮な野菜。つまりプラーナに満ちているからね。だから現代的にいえば、例えば冷凍食品とかはプラーナがもう死んでいますよと。あるいは電子レンジ。電子レンジで調理されたものというのはプラーナがかなり弱まりますと。だから食べてもあまり、現代的な栄養価はあったとしてもプラーナという意味ではあまり効果はなくなりますよと。
 インドは殺生を嫌うから、だからといって生きたものを食べたりはしないんだけど、中国の仙道とかでは、流派によっては、例えば生きた魚を食べるとか、魚をまるごと頭から尻尾まで食うとか、とにかく生命力の摂取にすごく励むようなところがあるね。でも生きたまま食べるとそれは逆に悪業も積んでしまうので、もちろん生きたままは食べないほうがいいけども。出来るだけ新鮮な野菜とか、もし動物も食べるんだったら切り身とかよりは頭から尻尾まで食べるようなね、まあ魚だったらそういうのいっぱいあるから、そういうもののほうがいいって考えるんだね。とにかく良いプラーナをいかに摂取するかと。それが食事の意味だよって考える。

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