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パトゥル・リンポチェの生涯と教え(107)

◎乞食とマニ石の石工

 パトゥルは、乞食が近づいてくるのを見るといつも、まるで何か”絶対的に素晴らしいもの”がやって来ているかのように、非常に喜んだ。彼は普通に人と会話をすることよりも、乞食から物乞いされることを好んだ。乞食が求めてくるものをすべて与えることができると、パトゥルは、それをもらった乞食よりも喜ぶのだった。

 貧しいマニ石彫りが食物と衣服を物乞いにやって来たときも、パトゥルの眼に涙が込み上げてきて、実際に涙を流したのだった。人に譲れるものを手にしたときは、大喜びですぐに人に譲った。何も人にあげるものがないときには、悲しそうに「なんてこったい」と言って、苦しげに虚空を見つめるのだった。

 あるとき、プルキャブという名の貧しい石工がパトゥルのもとにやって来て、お金を乞うた。その石工が少し貪りが強いと感じたパトゥルは、こう言った。

「”このお金はいりません”と繰り返し唱えなさい。そうしたらお金をあげるから。」

 その男はうろたえて、最初は何も言わなかったが、パトゥルがこの指示を三回繰り返すと、あきれながら、遂に「このお金はいりません」と言ったのだった。
 そしてパトゥルはお金を彼にあげた。
 のちに、ある人はパトゥルにこのことについて説明してほしいと頼んだ。
 パトゥルはそれに答えてこう言った。

「あるとき、在家信者のアナータピンディカが、仏陀釈迦牟尼に、ラドゥというおいしい豪華なお菓子を供養した。ある貪欲なブラーフマナはそれを見ていて、ブッダにそのお菓子を乞うたのだ。ブッダはこう答えた。

『”ゴータマよ、このラドゥはいりません”と言いなさい。そうしたらこのラドゥをあなたに差し上げよう。』

 ブラーフマナは言われた通りに、ブッダから指示された言葉を繰り返した。そしてブッダは彼にラドゥをあげたのだった。のちにブッダの従者であるアーナンダは、ブッダにその行動についての解説を求めた。ブッダはこう答えた。

『五百生もの間、あのブラーフマナは一度も”わたしはいりません”と言ったことがなかった。だからわたしは、彼の心に”知足の習慣”をつけさせるために、そうするように指示し、”わたしはいりません”と繰り返し言わせたのだ。』」

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