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ナーガボーディ

 
 聖者ナーガールジュナがプーヴァルナの寺院に住んでいたとき、西インドから、盗人であるブラーフマナがやってきました。戸口から師ナーガールジュナをのぞき見ると、グルは金の皿で豪華な食事をしていました。彼の心に、それを盗もうという考えが生じ、師はそれを心で察知し、金の皿を外へ投げました。
 「どうしてこのようなことをなさったのか」――彼は考え、寺院の中に入っていきました。

 「わたしが盗もうと思ったときに、これをわたしに投げてくださったのはなぜですか?」

 グルは語りました。

 「わたしはナーガールジュナである。わたしのものはすべて、他の利益のためにある。あなたは盗む必要はない。富を持っていても死ぬときには何の役にも立たないから、皿を投げた。ここにとどまって、これらの食べ物や飲み物を食べていきなさい。帰るときには、あなたの欲しい財宝を与えるから、持っていきなさい。」
 彼はナーガールジュナの行為に信服して、ダルマを請いました。ナーガールジュナは彼をグヒャサマージャでイニシエートし、次のように、物への執着から解放されるための教えを授けました。

 すべての事物は心によって生じる。
 汝の欲するすべてのものは、
 頭の上の大きな角のようであると観想せよ。
 宝石にはそれ自体の性質は何もない。
 故に、輝くクリアーライトを瞑想せよ。

 そしてナーガールジュナは、家の隅を多くの宝石で満たし、去っていきました。ナーガボーディはその家に住んで、指示に従って観想しました。12年で大きな角が頭にできて、彼がどこへ行っても何かにぶつかりました。彼ははなはだ不愉快になりました。
 ナーガールジュナがやってきて、「ご機嫌いかがかな」と尋ねました。彼があまりかんばしくない事情を話すと、ナーガールジュナは笑って、さらに教えを与えました。

 実体ありと誤認する観想による角を持つ者は、喜びを破壊するかのようである。
 事物の持つ基本的性質に執着することにより、
 すべての衆生は苦しむ。
 もろもろの存在するものには、正しく実存はない。
 しかし、それらは雲のように生起する。
 誕生、存続、消滅、利益、害は、
 どこから、また何によって生起するのか。
 同様に、清浄な心の本性においては、何が利益をなし、何があなたを害するか。
 知覚対象と知覚主体は、初めから成立していない。
 それぞれは自性として空である。

 すべての自性は空である――彼はそう悟りました。彼はそれを六ヶ月間瞑想し、輪廻とニルヴァーナを不可分であると悟り、成就を得ました。ナーガボーディという名で知れ渡り、グルの後継者に選ばれました。
 また、衆生を利するために、八つの偉大なシッディ、すなわち、
①地中を歩く。
②戦いに勝つ剣。
③加害と恩恵の儀礼。
④仏国土に行き、ブッダから直接教えを聞くこと。
⑤見えない神的存在を見ること。
⑥財宝の発見。
⑦羽が生えたように歩く足。
⑧不死の霊薬。
を成就しました。

 ナーガールジュナは、
「マイトレーヤが出現するまでの間、シュリーパルヴァタにとどまり、生ある者たちの利益のために、説法し、奉仕せよ。」
と言って、彼をそこに残し、去っていきました。彼は二万年の間、シュリーパルヴァタにいるだろうといわれています。

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