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クリシュナ物語の要約(10)「悪魔アガの救済」

(10)「悪魔アガの救済」

 ある朝クリシュナは、朝早くから寝床から起きると、仲間の子供たちとともに、子牛を連れて森の中へと入っていきました。

 彼らは森に到着すると、牛たちを一か所に集めて自由に草を食ませながら、皆で様々な遊びをして、楽しく時を過ごしました。

 宇宙の主であるクリシュナを、賢者は「最高のブラフマン」であると見ます。
 主にバクティをささげた者は、「最高神」と見ます。
 そしてマーヤーに目を覆われた者には、ただの人間に映るのです。

 そして前生で多くの功徳を積んできたこれらの子供たちは、まだクリシュナの正体は理解できずとも、クリシュナとともに楽しく遊びたわむれる幸運を得たのでした。

 何千年もの苦行を積み重ねたヨーギーでさえ、主の御足の塵を受けるのは難しいことなのです。であるのに、クリシュナをまさに肉眼で見、親しく接する機会を得たヴラジャの人々が味わった幸運を、いったいどう表現すればよいのでしょうか?

 さて、しばらくクリシュナと子供たちが遊んでいると、アガという強大な悪魔がやってきました。このアガは、かつてクリシュナに挑んで殺された、プータナーとバカの弟だったのです。そのためアガはクリシュナを憎み、仇を討つためにやってきたのでした。そしてアガは、この子供たちを殺して、ヴラジャの人々を悲しませようと考えたのでした。

 アガは、全長10キロ以上もある大蛇に変身すると、その洞窟のような大きな口をあけました。その口はあまりに巨大だったため、それは一つの風景のように見えました。牙は山のように見え、長い舌は道のように見えました。

 子どもたちはこの風景を見て、大蛇の口のようにも見えましたが、ただの風景のようにも見えました。そして楽観的に笑いながら、皆で蛇の口の中に進んで行ってしまいました。

 クリシュナはそれを見て、悪魔が変身した大蛇だと気付きましたが、もうすでに遅く、子供たちは大蛇の口の中へと入って行ってしまいました。しかし悪魔は、まだ口を閉じようとはしませんでした。兄と姉のかたきであるクリシュナが入ってくるのを待っていたのです。

 クリシュナは、自分を守護者とみなす子供たちが、自分の統制から離れて蛇の口の中へ入って行き、悪魔の食物になってしまうという、この痛ましい光景を見て、憐みの思いに心を満たされながら、自らもその大蛇の口の中へと入っていきました。

 そのとき、雲の後ろに身を隠してそれを見ていた神々は、「ああ、なんと悲しきことよ!」と恐怖の叫び声をあげ、また悪魔たちは歓喜の声をあげたのでした。

 しかしクリシュナは、大蛇の口の中に入ると、ただちに身体を巨大化しました。
 そのため大蛇は喉が窒息し、そのあまりの苦しさのために、目は外に飛び出し、激しくのたうちまわりました。そして密閉されたその悪魔のプラーナ(気)は、行き場を失い、ついに彼の頭頂のブラフマ・ランドラを貫いて抜けたのでした。
 すると悪魔の身体から不思議な光があらわれ、それはクリシュナの体の中へと吸収されました。クリシュナを殺そうとした悪魔でしたが、逆にクリシュナの祝福によって罪を浄化され、クリシュナの中に吸収されるという最高の恩恵を得たのでした。

 そしてクリシュナは、大蛇のお腹の中で死んでしまった子供や子牛たちを、まなざしを注ぐだけでよみがえらせました。
 
  

つづく

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