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カルマパ10世チューイン・ドルジェの歌(3)

 この暗黒の時代に、ジェツンの御名を聞くだけで、輪廻に終局がもたらされる。
 慈愛の主、最上者、勝者であられるカルマパ・チューイン・ドルジェは、時の変化の混沌さ

に落胆し、全智者であられる主グルの慈愛への切望を思い出した。
 彼のグルの化身に会うことを欲し、一人で修行し、彼は東方にあるドゥカンに行くことを決

めた。
 ウとツァンのダルマの実践者と彼の信奉者のための口頭の教えという別れのメッセージとし

て、彼はヴァジュラの歌を贈った。

 わたしは、優しき帰依処であるあなたを懇願します。
 この卑しい者がリトリートを続けられるよう、あなたの祝福をお与えください。
 今からわたしは、誰にも知られていない山にとどまり、
 誰にも知られていない王国を彷徨う。

 終わりなきビジネスは、
 灰の中で遊ぶ子供のよう。
 あなたがこれまでに為したすべてのことは役に立たない。
 今行為するなら、高潔に行為しなさい。

 以前は、あなたは二元的な固着という迷妄に支配されていた。
 この稀有な人間の身体を得たのに、
 あなたは、無益な輪廻という泥の中にそれを投げ込んだ。
 あなたがそれを未来において探しても、再びそれを見つけることはできないだろう。
 よって今こそ、大いなる目的を達成するのに相応しいときなのだ。

 以前あなたには、親しい友がいたにもかかわらず、
 未来において、あなたはあなたの友人や親族に付き添われることはないだろう。
 あなたが次の世界に行くとき、
 住み慣れた国や召使が着いてくるだろうか?
 もしあなたが真の拠り所や導き手を得ようとしているいならば、今、手に入れなさい。

  

 移り変わり、非永続的な、この秋の季節の間、
 輝き、華麗なさまざまな花の野原は、
 昨日は存在していたが、今日は存在していず、干からびた。
 これは、非永続性と幻影性の教師である。
 これについて考え、孤独であり続けなさい。

 この身体は、一日の空腹や喉の渇きも耐えることができない。
 あなたは愚かにもそれに執着するにもかかわらず、最後にはそれを失うだろう。
 四大元素は季節と共に変化する。
 この根拠のない意識は、
 魔術師によって創られた町のよう。
 あなたは、長い間ここに住む暇はない。
 あなたがこれを理解するならば、聖なるダルマを実践しなさい。

 彼は、一切の富を与えてもなだめられない。
 彼の耳は、甘い言葉には誘惑されない。
 彼は、強力な力の行為にも追い払えない。
 彼は不名誉にも、死として知られている。
 彼は、かつて敵や友の側についたことがない。
 彼が来るときは不確かだ。
 あなたが彼について熟考するならば、他の何ものも何の意味ももたない。

 パルドの険しい道の暗闇の中で、
 あなたは、肉眼では何も見えない。
 よって、たとえあなたが明日死んでも後悔がないように、
 内の光輝という松明を用意しなさい。
 あなたはこの有暇の好機に気づけなかったのだから、
 今は切迫の態度を取るべきときだ。

 蓄積と貯蓄という幻想の中に何も希望をかけず、
 良い生活は、ただの托鉢。
 柔らかく豪華な絹の衣服を望むことなく、
 古くて、破けた、ぼろぼろの衣服で身体を温めなさい。
 これについて考えなさい。そして山の中に住しなさい。

 空に舞い上がる鳥でさえ、
 彼らが気に入る場所に行くという大いなる自由があるにもかかわらず、
 地上で食物を探すときは、気をつけなくてはならない。
 彼らが蛇に捕まる羽目になるならば、彼らに何ができよう?

 あなたは、気に入る場所に行くという大いなる自由があるにもかかわらず、
 偏見という土地を彷徨うならば、
 幼き人々の策略である娯楽という罠に、
 用心しなければならない。
 それに捕らわれたならば、あなたは未来において後悔するだろう。
 これについて熟考し、山のリトリートに住しなさい。

 これは、「奇跡の城の白い湖」というダーキニーの住む至高なる場所で歌われた。

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