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カトク・ケンポ・ンガワン・パルサンの生涯(4)

 彼の師は彼に生命と長寿に関する詳細な教えを与えました。その後ケンポはロンチェン・ニンティクの長寿の修行のために100日間の隠遁修行を行ないました。読誦を多くの日数行なった後、祭壇の長寿の薬から光が放たれるのを目にし、それからその薬は光の中に溶け込みました。
 彼は風の修行を中心的に行なうことによって、中央気道へのエネルギーの流入、定着、そして完成を成就しました。熱のヨーガを通じて、彼は体においては大きな至福と熱、そして心においては至福と空性の合一を経験しました。外的に冷たいもの、熱いもののどちらに触れても、熱と至福が発生しました。微細な本質に関する修行を通じて、まもなく彼の心と心に起因する出来事は消え去りました。彼は濃い眠りのような無思考の状態にとどまりましたが、はじめそれは開放性を伴い、それからその心も空性と透明性の結合状態の中で一つになりました。彼は瞑想のセッションのあいだずっと、そのような状態にとどまることができました。

 ケンポが21歳のとき、ニョシュル・ルントクは毎日彼にニンティクの最も深い教えを数行与えました。教えを受けた後、ケンポは何日もその指導の意味を瞑想し、その後で議論や説明が行なわれました。

 ルントクは自分がジグメ・リンパからドドゥプチェンの系統を通じて伝えられたニンティクの伝達をゾクチェン4世から受け取ったと説明しました。彼はまたジグメ・リンパからギャルウェ・ニュクの系統を通じて伝えられた伝達をパトゥル・リンポチェとキェンツェ・ワンポから受け取りました。

 これらの修行のあいだ、彼はンゴンド修行の期間に経験したこと、つまり、一切の客観的な現われが消滅した後に起こった彼の無思考の経験は、単なる思考の不在ではなく、生来的な覚醒と空性のありのままの結合であったという疑いの余地のない自信を育てました。

 彼は自分の師にその確信を報告しました。師は笑って、こう言いました。

「ンゴンド修行という準備的な心の修行のあいだに、あなたは【無思考の】瞑想と客観的な現れの消滅について話していたが、まさにその通りです。思考には、主観的思考と客観的思考の二種類がある。悟った者の瞑想において、まず主観的な認識者が消滅する。そのとき、客観的な思考はまだ消滅しておらず、現われに関する思考が残っている。それから客観的に認識していたものが消滅し、そしてその後、単なる現われさえも瞑想中の心の前からなくなるのです。」

 ケンポは大変な天賦の才があり、初期の瞑想修行のあいだに真の本性の経験をしました。しかし、彼の師はこれが重要な悟りだとは彼に言いませんでした。もし彼があまりにも早くそう言ってしまったら、ケンポの心に微妙な概念的な理解、つまり、いわゆる‘重要な悟り’に対するとらわれが生じるかもしれないからです。

 まさにそういう理由から、パトゥル・リンポチェはこう言いました。

「それをダルマカーヤだと急いで呼ぶな!」

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