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アディヤートマ・ラーマーヤナ(49)「ハヌマーン、ラーマの伝言をシーターに届ける」

第三章 ハヌマーン、ラーマの伝言をシーターに届ける

◎シーターの注意を引きつけるためのハヌマーンの策略

 シーターは心の中でこのように考えていた。

「ラーマ様と隔たれてしまったこの肉体など、首を吊って捨ててしまいましょう。この女悪魔たちの生活用品の中で何かいいものはないかしら? 私の髪の房はかなり伸びているから、首を吊るのに十分だわ。」

 ハヌマーンは、ジャナカの娘のシーターを見つけ、彼女が自殺を心に決めていることを知った。彼はしばらく考えると、身体を小さくして、ちょうどシーターだけに聞こえるくらいの大きさの声で、このように語った。

「イクシュワーク王統に、アヨーディヤーを統治するダシャラタという名の偉大なる王がおりました。彼には、あらゆる吉兆な印と性質を持つ神々と同等の四人の名高い息子がいたのでした。彼らの名は、ラーマ、ラクシュマナ、バラタ、そしてシャトルグナといいました。
 彼らの長兄は、父君の命令を遵守するために、弟のラクシュマナと妻のシーター様と共にダンダカの森へと向かい、そこに住まわれたのです。
 彼らはゴーダヴァリー河の岸辺のパンチャヴァティで暮らしておりました。ラーマ様が住処を離れていたときでした、邪悪なるラーヴァナが彼の妻である敬虔なるシーター様をさらっていったのです。
 非常なる悲しみに打ちひしがれて、ラーマ様はシーター様の捜索を開始し、その途上で地面に倒れている鷲の王ジャターユに出くわされました。彼を天界へと送ると、ラーマ様はすぐにリシャムーカ山に到着しました。
 そこでスグリーヴァ様は気高きラーマ様と同盟を結んだのです。ラーマ様は同盟者であるスグリーヴァ様を、彼の妻を奪ったヴァーリンを殺戮することで手助けし、その後に王としてスグリーヴァ様を任命されました。
 そして今、スグリーヴァ様は猿の従者たちを集結させ、彼らをシーター様の捜索へと派遣しました。
 その中の一人であり、スグリーヴァ様の使いである私は、サムパーティという名の霊鳥によって示された通りに、百ヨージャナもの広さの大海を何とか渡り、ランカーの都に到着いたしました。
 ここをゆっくりとくまなく探し回り、私はアショーカの林に辿り着き、その中でシンシャパーの樹を見つけたのであります。
 ここで私は、悲しみに沈んで座っていらっしゃる、ラーマ様の妻であられるシーター様を見つけました。
 ここに来たことで、私は使命を果たしたのです。」

 こう言うと、賢明なハヌマーンは無言になった。
 シーターは大変驚きながら、この段階を追って語られた物語をすべて聞き、このように独り言を言い始めた。

「今、空から聞こえてきたものは何でありましょうか! 風神の言葉かしら? それとも夢? 自分の妄想? それとも本当の経験だったのかしら? 悲しみが私から睡眠を奪ってしまったゆえ、夢だということはありえないでしょう。そして妄想だとも言い難いでしょう。私の耳にとっての甘露のようなこの待ち望んだ言葉を語ったその偉大なる人よ、この言葉が現実であったならば、私の前に現れたまえ。」

 ハヌマーンは、シーターのこの言葉を聞くと、木々の葉の茂みからゆっくりと現れて、彼女の前に立ったのだった。

◎ハヌマーンとシーターの対話

 カラヴィンガという名の鳥ほどの大きさで、黄色い身体の色をしているが顔は赤いその猿は、ゆっくりと向かってきて、シーターの面前で礼拝すると、彼女の前に立った。
 彼を見るや、シーターは初め、魔術の達人であるラーヴァナが彼女を欺くために猿を装ってまたやってきたのだと思って、恐怖した。ゆえに彼女は目を伏せて黙ってそこに座っていたのだった。
 シーターが恐れていると推測し、ハヌマーンはシーターに再びこのように言った。

「ああ、女神様よ! 私は全く、あなたが疑わしく思われているような者ではありません。ゆえに、私に対しての一切の疑いを捨てたまえ。
 私は、コーサラ国の王ラーマとして化身された至高者のしもべであります。そして同様に、猿の王スグリーヴァ様の遣いでもあり、宇宙の生命エネルギー(プラーナ)である風神ヴァーユの子であります。」

 この言葉を聞くと、ジャナカの娘シーターは、彼女の眼の前で手を合わせて礼拝しているハヌマーンにこう尋ねた。

「あなたはご自分のことをシュリー・ラーマチャンドラの召使いだとおっしゃるのですね。
 猿と人間の同盟など、如何にして存在し得ましょうか? どうしてそのようなことが信じられましょうか?」

 そこで、風神の子ハヌマーンは、シーターに面と向かってこう言った。

「気高きラーマ様は、女性苦行者のシャバリに示された通りに、リシャムーカ山へと行かれました。
 リシャムーカに隠れ住んでいたスグリーヴァ様は、ラーマ様とラクシュマナが近づいてくるのを見て恐れののいて、彼らの真の意思を探るために私を送り出されたのです。
 ブラフマチャーリンの姿で、私はラーマ様に近づき、彼の意思が善良なものであると確信すると、二人のご兄弟を肩に乗せてスグリーヴァ様の元へと参り、ラーマ様とスグリーヴァ様の同盟を結ぶ手はずを整えたのでした。
 スグリーヴァ様の奥方は、ヴァーリンに無理やり奪い取られておりました。そのヴァーリンを、ラーマ様はたった一本の矢で殺戮し、スグリーヴァ様を猿の王として任命されました。
 スグリーヴァ様は非常に力強き猿たちに、あなた様を探すように命じられたのです。
 ラーマ様は、捜索の班の中から私を見出され、傍に呼ばれると、愛をこめてこのように仰いました。

『おお、風神の子ハヌマーンよ! この私の計画の成功は、すべてお前にかかっている。ラクシュマナと私の安否に関するあらゆる知らせをシーターに伝えるのだ。ここに私の名が刻まれた指輪がある。お前を正真正銘の使者として認識させるための印として、それをシーターに渡して欲しい。』

 このように仰ると、ラーマ様は指から指輪を外され、それを私に手渡してくださったのでした。私はあらゆる注意を払ってそれを失わないようにし、ここに持って参りました。
 ああ、気高き御方よ! どうぞ、お受取りください。」

 こう言うと、ハヌマーンはその指輪をシーターに渡し、彼女の前にひれ伏し、少し後ろに下がり、頭の上で手を合わせて礼拝したまま立っていたのだった。

◎指輪を渡した後

 ラーマの御名が刻まれたその指輪を見ると、シーターは喜びで心が溢れ返った。涙が頬をつたい、彼女は指輪を受け取ると、それを愛を込めて頭に掲げたのだった。
 そして彼女はこう言った。

「ああ、お猿さん、あなたはまさに私の命の救世主です。あなたは非常に賢く、ラーマ様への信仰心で心がいっぱいでいて、あの御方を喜ばせることしか頭にないのです。ラーマ様はあなたに絶対的な信頼をおいていらっしゃるに違いありません。なぜならば、あの御方は、見知らぬよそ者を、私に遣わせる使者になどお選びにならないでしょうから。
 ああ、ハヌマーンよ、あなたは私が如何に悲惨な状態であるかを見たでありましょう。あの御方の御心に激しい慈悲を起こさせるために、この一切をラーマ様に伝えてください。
 ああ、気高き者よ! 私の命はあと二ヶ月しかありません。その間にラーマ様がここに来られて私を救ってくださらなければ、あの邪悪な輩が私を食べてしまうでしょう。
 その期間内に愛しきラーマ様が猿の王スグリーヴァとその猿の軍隊と共にここにやって来て、ラーヴァナを一族、軍隊諸共に滅ぼされ、私を救ってくだされば――その彼の英雄なる功績は、物語のテーマとなり、幾世代にも渡って詠い讃えられることとなりましょう。
 ああ、英雄よ! あの御方ができるだけ早くラーヴァナを殺戮せざるを得ないと思われるように報告するように願います。
 ああ、ハヌマーンよ! これを実現するよう全力を尽くすのです。そうすればあなたは、そのあなたの言葉によって、偉大なる気高き目的を成し遂げるでしょう。」

 シーターのこの懇願に対して、ハヌマーンはこう答えた。

「ああ、女神様、ただちに私は帰還し、ラーマ様とラクシュマナにお会いしましょう。彼らはスグリーヴァ様と武器を掲げたその軍隊と共にここにやって来て、ラーヴァナを滅ぼし、あなたをアヨーディヤーに連れ帰られるでありましょう。そこには一切の疑いはありません。」

 これを聞くや、シーターは彼にこう問いかけた。

「ラーマ様はどのようにして、その猿の軍の将軍たちと広大な海を渡り、この場所に来るというのですか?」

 彼女の疑問を解くために、ハヌマーンはこう答えた。

「あの偉大なる御二人方は、わが肩に乗ってここに到着するでありましょう。スグリーヴァ様とその猿の軍は海を跳び越えて来るでありましょう。
 このように海を越え、彼らはあなたのために、この悪魔の一族のすべてを灰と化してしまうでしょう。ゆえに、どうかこれに疑いを抱きたもうな。
 それでは、素晴らしき御方よ、私に帰還する許可をお与えください。私は、あのご兄弟の御二人方に会い、彼らをここにお連れし、できるだけ早くあなたにまたお会いできるよう、ただちに帰還する必要があります。
 何か印として、私が実際にあなたとお会いしたということをラーマ様がお分かりになり、確信されるものを私にお与えください。そうすればラーマ様はすぐにも、完全に戦闘態勢を整え、意気揚々とここにやって来られるでありましょう。」

◎シーター、冠羽の宝石を授け、カラスについての出来事を語る

 蓮華の眼をしたシーターは、それからしばらく考え、髪の房の中から冠羽の宝石を取り出し、それをハヌマーンに渡してこう言った。

「ああ、気高きお猿さん、これでラーマ様とラクシュマナはあなたの報告を真実として受け入れるでありましょう。
 さらにもう一つ、あなたにお話いたしましょう、ああ、純粋なる魂よ。その話はわれわれがチトラクータで暮らしていた頃に遡ります。
 ある日、ラーマ様は密かに、私の膝を枕にしてお休みになっておられました。すると、インドラの息子がカラスの姿でやって来て、何か肉を食べようとして、私の深紅色を帯びたつま先を、クチバシと爪で攻撃し始めたのです。
 それと同時にラーマ様は目を覚まされ、私の負傷した足を見るや、『誰だ、私にこのような攻撃を仕掛けてきたのは!』と叫ばれました。
 顔と爪が血でまみれたカラスが私に何度も何度も攻撃しているのを見るや、彼はお怒りになられ、草の葉の中に神の武器を顕現させ、それをそのカラスに向かって投げたのです。
 その神の武器は、燃え盛りながらカラスに向かって飛んでいき、そのカラスは命を守ろうと飛び去って行きました。
 そのカラスはその武器に追いかけられて宇宙中を飛び回りましたが、ブラフマーのような神々でさえも、その武器からカラスをかくまうことができずに、遂にはそのカラスはラーマ様の御許に赴き、ひどく恐怖してあの御方の御足に跪き、保護を求めました。
 そしてラーマ様は、そのカラスにこのように仰いました。

『私のこの武器は、一度放たれたならば、何も果たさずに無駄になることはない。お前の眼をその標的として差し出し、ここから立ち去れ。』

 カラスはその左目を神の武器で破壊されると、去っていったのでした。
 そのような無敵の力をお持ちのラーマ様が、どうして囚われの身の私をおざなりにしましょうか?」

 シーターのこの言葉を聞くと、ハヌマーンはこう言った。

「ああ、尊敬されし御方よ、ラグ族の最高者であられるラーマ様があなたがここにおられると知ったならば、あの御方はこの悪魔の壮麗な都を即刻灰と化してしまわれるでありましょう。」

 そこでシーターは彼にこう尋ねた。

「あなたは身体が小さいです。他の猿たちもそうであるに違いありません。ならば、あなた方はどうやって悪魔たちと戦うというのですか?」

 そのシーターの言葉を聞いて、ハヌマーンは彼女に、自分の真の姿を明かしたのだった。
 それはスメール山のように大きく、悪魔をゾッと恐怖させるようなものであった。彼女はその姿を見て喜び、その偉大なる猿の英雄にこう言った。

「ああ、力の権化よ! あなたは間違いなく、あなたが言った通りのことを成し遂げるでしょう。さあ、この女悪魔たちがあなたのその途方もなく大きい身体と力に気づいてしまいますよ。ゆえに、ただちにこの場を発ち、ラーマ様の許へと急いでください。
 あなたが無事に帰路を進めるよう、願っています。」

 そして、とてもお腹が空いたハヌマーンはこう尋ねた。

「あなたと別れた後、少しばかり、空腹を満たしてもよろしいでしょうか? あなたは特に気を遣う必要はありませぬ。私はあなたの前にあるこれらの木々の果実で腹を満たしましょう。」

 シーターからその許可を取ると、ハヌマーンはそれらの果実をすべて食い尽くしてしまった。そして、シーターはもう一度彼に出発の許可を与えたのだった。
 そして彼は彼女の前で礼拝した後に、出発した。しかし、ある程度の距離を行くと、彼は心中にこのように思い始めた。

「一つの目的のために遣われた使者、彼が使命を果たした後に、その延長として何も為すことなく、ただ帰還するならば、それは最も劣ったたぐいの使者であろう。
 ゆえに私はさらに何か事を起こし、ラーヴァナと会い、彼と会話を交そうではないか。
 その後、私はラーマ様にお会いしに向かおう。」

 心中にこのように決めると、勇敢なるハヌマーンは、そのアショーカの林の樹を引っこ抜き始めた。そしてすぐにその場所には樹がなくなった。
 シーターが座っている樹を除いて、以前林だった場所は、ほとんど裸地となってしまった。
 そのとき女悪魔たちは、ハヌマーンが樹を引っこ抜いているところを見て、シーターにこう尋ねた。

「あの猿の姿をしているが偉大なる戦士にも見える輩は何者なのじゃ?」

 シーターはこう答えた。

「あの悪魔の摩訶不思議な業の秘密は、あなた方が知っているのでしょう。激しい悲しみに苦しんでいるような私ではありません。
 私はあのお猿さんについては何も知りませんよ。」

 悪魔たちは恐怖でいっぱいになり、ハヌマーンがアショーカの林で為した一切のことをラーヴァナに報告した。
 彼らはこう言った。

「おお、偉大なる王よ! 猿の姿をしていて大いなる力を有している巨人が、シーターと会話を交わした後、一瞬でアショーカの林の樹を引っこ抜き、丘の上の屋敷を跡形もなく破壊しました。
 屋敷の見張りを全員殺し、彼は今その場所に立っております。」

 ラーヴァナは、非常に気に入っていたアショーカの林が破壊されたと聞いて、カンカンに怒って即座に座を立ち上がると、キンカラという名の彼の大規模な軍隊を送り出したのだった。
 キンカラは、かつて屋敷があった場所に、山のように大きく、恐ろしい姿をし、顔は赤く、武器として鉄の棍棒を持ち、ゆっくりと尻尾を振っているハヌマーンを見た。
 悪魔の軍隊が向かってくるのを見て、ハヌマーンは獅子のような咆哮を轟かせた。すると、彼の敵方の多くが気を失ってしまったのであった。
 屋敷の見張りの悪魔をすべて殺戮したハヌマーンのゾッとするような恐ろしい姿を見るや、新たに到着した悪魔たちの一行は、さまざまな武器でハヌマーンに攻撃を仕掛けた。
 するとハヌマーンは、悪魔の軍隊に突進していくと、鉄の棍棒で四方八方の悪魔たちに襲い掛かり、堂々たる象が蚊を潰すようにして、彼らを叩きのめしたのだった。
 キンカラが滅ぼされたという知らせは、ラーヴァナの怒りを極限まで引き上げた。彼はハヌマーンに対して、戦に血を騒がせている五人の将軍を送り出した。
 ハヌマーンがまた彼らを全員滅ぼすと、怒ったラーヴァナはそこで次に、彼の大臣である七人の息子たちを送ったのだった。
 風神の子であるその猿の神は、即座に一瞬の内に、鉄の棍棒で彼らを全員破滅させると、また次に攻撃しにやってくる悪魔を待つために、その場で待機した。
 そして、ラーヴァナの最も若い息子である勇敢なるアクシャ・クマーラが戦いにやって来た。
 アクシャ・クマーラが向かってくると、ハヌマーンは彼のところへ跳んでいって、鉄の棍棒で彼の頭に致命的な一撃をお見舞いした。
 アクシャ・クマーラを殺戮した後に、ハヌマーンは彼が引き連れてきた軍隊も同じように滅ぼしたのだった。

◎インドラジット、ハヌマーンを捕らえる

 息子のアクシャの死の知らせを受けると、猛烈に激怒したラーヴァナは、インドラ神に勝利した彼の長兄であるインドラジットを呼び出した。
 ラーヴァナはこう言った。

「おお、わが息子よ! わしは今からわが息子のアクシャを殺した輩を攻撃しに向かうところである。奴を殺すか、縛るかして、お前の元へ連れてきてやろう。」

 そこでインドラジットは父親にこう言った。

「おお、気高き魂よ! 悲嘆を捨てたまえ。私がここにいるというのに、何ゆえに御身はそのように悲しみに耽っておられるのですか?
 おお、父君よ! 私はブラフマーの武器でその猿を縛り上げ、すぐに奴を御身の許に連れて参りましょう。」

 そう言うと、英雄インドラジットは、悪魔の大軍に囲まれている風の子に反撃を仕掛けたのだった。
 悪魔の部隊のけたましく騒然とした音が聞こえてくると、ハヌマーンは鉄の棍棒を振り上げながら空中へと飛び上がった。
 彼が鷲のように兵隊の上空に舞うや、インドラジットは矢で彼を負傷させた。
 インドラジットは八本の矢を彼の頭に、六本を胸と足に、そして一本を尻尾に打ち込んだのだった。
 このように彼の至るところを負傷させると、インドラジットは獅子のような咆哮の雄叫びをあげた。
 偉大なる武勇を有するハヌマーンはこのような戦の機会に歓喜し、鉄の棍棒を振り上げると、一撃をお見舞いしてインドラジットの御者を殺し、その馬車を馬ごと粉々にした。
 すると勇敢なるインドラジットは、また別の馬車に乗り込み、ブラフマーの武器を放ち、勇者ハヌマーンを縛ると、彼をラーヴァナの許へと連れていったのだった。
 その御名を唱えることによって、絶えずジーヴァを、迷妄を生み出すカルマの束縛から開放させ、無数の太陽よりもさらに光輝く至高なる至福の本性である神の境地に到達させる彼――そのラーマの御足は永遠にハヌマーンのハートの中に在り続け、そして彼の一切の輪廻の束縛はそれによって取り除かれた。
 そのような者に対して、縄や武器の束縛などが、どんな害を加えられるであろうというのか?

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