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アシュターヴァクラ・ギーター 第三章 叡智

第三章 叡智

あなたは真我が本来ひとつで
限りないものだと
知っている。

あなたは真我を知り
それゆえ、安らかなのだ。

それなのに、なぜまだ富を望むのか?

無智ゆえに
あなたが真珠貝の中に銀を見るとき
強欲が湧き起こる。

真我に無智なために
感覚が渦巻く世界に対して
欲望が湧き起こる。

大海の波のように、
その中で世界が湧き起こっては静まりかえるそれ
それがあなた自身だと知りながら
なぜみじめにうろつきまわるのか。

聞かなかったのだろうか?

あなたは純粋なる智慧だ。
しかもあなたの美しさには限りがない!

それなのに、なぜ煩悩に身を焦がすのか?

賢い人は、
すべては彼自身の中にあり、
彼自身がすべての中にあることを知っている。

それにもかかわらず、なんと奇妙なことだろう!
彼はいまだにこう言う――「これは私のもの」と。

自由になろうと決意して
彼はすべてを超越し
一なるものとしてとどまる。

それにもかかわらず、なんと奇妙なことか!
彼は愛著に溺れて力を失い、
性欲に飲みこまれてしまった。

年老いて、衰弱しながらも
彼はまだ欲深い。
性欲が覚醒の敵だと
はっきり知りながら。

なんと奇妙なことか!

彼は自由を求める……

この世も
あの世も気にかけず
何がはかなく
何が永遠かを知っている。

それなのに、なんと奇妙なことか!
彼は自由を恐れている!

だが、真に智慧ある人は
いつも至高の真我を見る。

褒められても喜ばず、
軽蔑されても怒りもしない。

澄んだハートで
彼は自分自身の行為を
他者の行為のように見守る。

どうして賞賛や非難が
彼をかき乱せるというのだろうか?

澄みきった揺るぎない洞察で
彼はこの世界を幻として眺め
もはや、惑わされることもない。

どうして彼が死を恐れることがあろうか?

純粋なハートから
絶望の中でさえ
彼は何も望まない。

彼は真我の叡智で
満ち足りている。

彼に並ぶ者がどこにいるだろう?

澄みきった揺るぎない洞察で
彼は見るものすべてが
本来無だと知っている。

どうして彼に選り好みができよう?

彼はすべての二元性を超えた。

欲から解放され、
心の中から
世界への熱望を消し去った。

喜びや悲しみ
何が起ころうと
彼が揺らぐことはない。

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