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「至高者から心を離さずに」

◎至高者から心を離さずに

【解説】

 無敵の勇者、バーラタ族の子孫よ! 自らの欲望と嫌悪から生じる二元相対の世界に、
 すべての生き物は、生れ落ちると同時に、幻惑されてしまう。

 だが、清らかな徳を積み、悪業を断ち切って、
 二元相対の迷妄を払い続けた人々は、固い決意のもとに私を礼拝するようになる。

 私に完全に帰依し、老いや死から解脱しようと努力する人々は、
 至高者も、真我も、カルマの法則も、すべてを知ることになるだろう。

 私が、すべての物質現象の支配者であり、すべての神々の支配者であり、
 またすべての供養の受け取り手であると知る人々は、死ぬときですら私から心を離すことは決してないだろう。

 われわれは死後、いったん、カルマから解放されるわけだけど、すぐにまたカルマの輪に巻き込まれ、生まれ変わる。それは二元相対の世界であって、それは誰でもない、自分自身の欲望と嫌悪が作り出している二元相対の世界だということだね。われわれは最初から、そのような二元相対の世界の闇の中で、がんじがらめになっているんだと。
 しかし徳を積み、悪業を断ち切り、二元相対の迷妄を払い続ける。――これは仏教的に言うと貪・瞋・痴の捨断ということになりますが、そのように努力する人は、徐々にその二元相対の世界から解放され、心が浄化され、それによって、固い決意をもって、至高者を礼拝するようになるというわけですね。
 そしてここでも、至高者への完全なる帰依こそが、最高の道であるということが、この章と結論として説かれているわけですね。
 この最後の結論というのは、このようなことを目標とすべしと読んだほうがいいね。つまり、至高者に完全に帰依し、解脱を目指してひらすら徳を積み、ひたすら悪業を断ち切り、執着とか嫌悪とか、成功や失敗へのとらわれとか、希望と恐怖とか、そういった二元対立の迷妄を心からひたすら払い続ける。そして常に、どんなときでも、決して至高者から心を離さない。常に至高者を思い続ける。そして死ぬときにも至高者を思い続けながら死ぬ。このような人は、生きているうちから、至高者の実体、真我の実体、そしてこの世を支配するカルマの法則などについて如実に悟ることができるだろうし、また、死後は輪廻から解脱するだろうということですね。

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