「秘密の化身」

◎秘密の化身

【本文】

　叡智のない者達は、私が永遠不変ですべてを超越した存在であることを知らぬため、
　私が仮にあらわしたこの姿を私だと考えている。

　私は、幻影をコントロールする力により、自分の真の姿を人々の目から隠している。
　だから愚者や知性の低い者達は、不生不滅の私の真の姿を理解できずにいるのだ。

　私は過去に起こったことも、現在起こっていることも、未来に起こることも、ことごとく知っている、アルジュナよ！
　また私はすべての生物を知っているが、誰も私のことは知らない。

　はい、これはアヴァター、つまり至高者の化身として、人間としての仮の姿をとってこの地上にクリシュナは現われたわけだけど、ほとんどの人間は、それを知らないわけだね。ほとんどの人間は、クリシュナを、ただの人間だと思っている。しかし真実はクリシュナは、永遠不変ですべてを超越した存在なんだと。
　これは、たとえばラーマクリシュナもこのアヴァターだったといわれている。それからそのほかにも、アヴァターということを自分で言ったり信者が言ったりしている人は多くいるけども、もちろん、そんなに多くいるわけじゃないから（笑）、その多くは偽者でしょう。しかし中には本当のアヴァターもいるんだね。もちろんそれは、そんなものはいないという人もいるけども、私はいると思います。
　本当のアヴァターっていうのは、どこどこのこれこれの神の生まれ変わりとか、そういうレベルの話じゃなくて、もう、完全なる至高者の化身ということだね。それは、わずかではあるが、この歴史上、地球に何人も登場したし、もしかするとこの現代もどこかにいるかもしれない。それはまだわからないけどね。
　なぜそんなすごい至高者の化身が現われているのにみんなが気づかないのかというと、その至高者自身が、幻影をコントロールする力によって、自分の真の姿を人々の目から隠しているっていうんだね。だから愚者や知性の低い者達は、不生不滅のそのアヴァターの真の姿を理解できずにいるんだと。なぜわざわざそんなことをするのかというと、アヴァターとして現われたということは、何かその世界でやるべきことがあるからだね、衆生のために。だからそれを遂行するために、アヴァターは自己の正体を隠し、ひそかに使命を遂行するんだね。しかし智慧ある者や縁のある者は、そのこっそりと行なわれているアヴァターのリーラー（神の遊戯）に気づくんだね。