「心の本性と、瞑想の修習」④
もしあなたが、欲求多き主体が不在である広大なサマーディの経験という船で、
架空の三つの世界の海を渡ったならば、
それ自身で完全であり、そして心の至福が存在そのものの至福と絶え間なく入り混じった領域にたどり着くでしょう。
寂止は、それがそこにあるために、法身の空性であり、そこに生じるのです。
正観は、輝くエネルギーのために、法身の表象の顕現なのです。
これは、方便と智慧、そして功徳と智慧の集積、そして生起のプロセスと完成のプロセスなどは、すべてそこにあるという意味です。
正観が、存在を理解する智慧をもたらすでしょう。
この状態にとどまり続ける寂止を通して。
主体と客体の考え、物質と非物質といった二元性におかされた心が、
存在の連続体の非二元性、そしてその純粋意識に占領されるとき、
心と心の事象は、もはや客観化されることはなく、弱まっていくでしょう。
心の本性の、原初からの純粋さにより、
付随的な概念は、当分の間、純粋になるでしょう。
九段階の瞑想、神秘的な知覚と、多様な心の経験、数え切れないサマーディの経験といった神秘的な滋養の雲は、自発的に現われます。
欲界に属している心が、自分自身を探している者として焦点を当てられ、
現世の欲望を否定した時、
分別があり、吟味的思考のプロセスが作動しているサマーディの経験、
喜びや至福の感覚に伴って起こるサマーディの経験が開発されるのです。
これは第一の瞑想ステージです。
このステージから、分別や吟味的思考のプロセスがもはや作動していず、ただ無思考の精神集中だけになったサマーディの経験が開発されるでしょう。
ここで、心は本質的に光り輝き、歓喜が生じ、至福感が生じます。
これが第二の瞑想ステージです。
このステージから、喜びもないサマーディの経験が開発されます。
もっと正確に言うならば、心が至福で飽和状態になります。
これが第三の瞑想ステージです。
このステージから、苦楽の二元性を超えた純粋な歓喜であるサマーディの経験が開発されます。
これが第四の瞑想のステージです。
この十分に集中した心から、空のような透明で明快な心の状態が開発されます。
――これは、無限の空のような拡大した心の達成です。
これが第五の瞑想のステージです。
この状態から、意識が無限に拡大する状態がやってきます。
そして、すべては心を取り乱すべき事柄などない、心の本性であることが理解されるのです。
これが第六の瞑想ステージです。
この状態から、いかなる存在もなくなる状態の拡大がやってきます。
そしてそれは、何かをとることもなく、すべての事柄から離れることでもないのです。
これが第七の瞑想ステージです。
この状態から、断定のない状態の拡大がやってきます。
そして心は、存在、非存在の両方から解放されます。
これが第八の瞑想ステージです。
この状態から、完全な寂静の状態の達成がやってきます。
これが第九の瞑想ステージです。
そして通常、感情的な様々な反応に従事される心は、この方法で、停止に向かうのです。
この九つの瞑想ステージを、一番目から九番目まで順々に、または再び逆に一番目まで戻るようにして経験を繰り返した時、
彼は、自分と他人の無数の過去世を知り、
カルマに応じて衆生が転生してきたことを知るでしょう。
また彼は、衆生がどのように死に、死のプロセスをたどり、どのように転生し、どのような来生を送るかを知るでしょう。
また彼は、隠れたところにあるものも見るでしょう。
また彼は、さまざまな姿に変化することができるようになるでしょう。
そして、感情の干渉なしで、彼は物事をあるがままに見、
すべてが繋がっていること知るでしょう。
また彼は、ブッダの御子でいっぱいの、ブッダの領域を見るでしょう。
あなたが、顕現は幻影だということを十分に理解したとき、
すべての幻影の本性というサマーディの経験がやってくるでしょう。
――そして、心の苦悩が消え去り、乱れた感情の動揺は静まり、
月のような、純潔なサマーディの経験が現われるでしょう。
そして、すべてのものが、もはやその区分を見ることもなく、同一性の広大さの中で、
一つでもなく、複数でもなくなり、
空のような、ヴェールがすべて剥がされたサマーディの経験が現われるでしょう。
数百、数千、それ以上の数え切れきれないそのような経験が、確立されるでしょう。
正観によって、物事や人生の意味は正確に理解され、
そして寂止によって、この正観がはっきりと保たれるでしょう。
――そしてこの神秘的な滋養としての正観と、サマーディの経験としての寂止の経験は、自然に結合されるでしょう。
それらを実際に得るための五つのステージの道を進むことによって、
あなたは自由になるでしょう。
まず準備段階の初歩レベルのステージで、あなたは、
物質的な世界、感覚の世界、心の世界、そして概念、意味の世界に関係する
四念処の検討を養わなければいけません。
準備段階の中レベルでは、決意、熱意、意志の固さ、そして忍耐によって、
あなたは、善をなし悪を断つための、四つの努力を実践しなけばいけません。
準備段階の高レベルでは、意欲、精進、念、そして観察によって、
あなたは、より高い認識のための四つの基礎を養わなければいけません。
真理の直接的認識に決定的に結び付ける加行のステージで、
あなたはまず、熱意と上昇を特徴とするこのステージの初期段階において、
信、精進、念、サマーディ、そして智慧の五つの根を培わなくてはなりません。
それから、受け入れることと至高の瞬間と呼ばれているものを特徴とする、このステージの後期段階において、
同様に信、精進、念、サマーディ、そして智慧の五つの力を培わなくてはいけません。
純粋な歓喜に満ちた真理を直接経験するステージでは、
あなたは、「躍動する神秘智」と「完全なる叡智」へ至る、七つの装飾品を正確に養わなければなりません。
その七つとは、信、精進、念、サマーディ、智慧、歓喜、そして精練です。
次に、修道と呼ばれるステージにおいては、
低・中・高それぞれのレベルにおいて、それぞれ三つの段階がありますので、
全部で九つのレベルがあります。
それは、汚れのない段階、光を発する段階、智慧の光の段階、
征服されない段階、現前の段階、遠行の段階、
不動の段階、至高の智慧の力の段階、そして法の雲の段階です。
それらの実践によって、正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正サマーディという八正道も同時に成熟していくでしょう。
寂止と正観に導くための、
三十七道品を含んだそれらの四つのステージの修行を終えたとき、
あなたは、これ以上学ぶ必要のない段階である、ニルヴァーナに入るのです。
これらの道、それらのレベルの上昇を進んでいくことなしでブッダになった魂は、どこにもいません。
自由を得た魂はすべて、すべてこの道に従ってきました。
それゆえに、真理の探求に着手した人々は、
原因の道を歩くにしろ結果の道を歩くにしろ、
これらの重要な道を進まなくてはなりません。
心の本性の輝きのエネルギー、自性、そして空性によって、
衆生の乱れた心の動揺が、完全にしずまることによって、
このように永き時の間、この架空の世界の事柄に夢中になることによって、疲弊しきった衆生の心が、
今日こそ、安らぎと幸福を見つけられますように。