「ヴィヴェーカーナンダの生涯」第一回(7)
【本文】
ナレーンドラの家の隣に住むスレーンドラは、あるとき、ラーマクリシュナのもとを訪ね、初対面からラーマクリシュナに強くひかれました。短期間で非常に親しくなり、ラーマクリシュナを自宅に招いて祭礼を催すようになりました。
ある日、祭礼で信仰歌を歌う専門の歌手が見つからなかったスレーンドラは、隣に住むナレーンドラを招待しました。ナレーンドラは多芸多才で、歌においても優れていると評判だったからです。
こうして偶然にも、ナレーンドラは初めて、噂に聞くラーマクリシュナにお会いしたのでした。一八八一年十一月のことでした。このときナレーンドラは十八歳で、カルカッタ大学の入学試験の準備中でした。
ラーマクリシュナはナレーンドラを一目見るなり、非常に強く惹かれました。ラーマクリシュナはナレーンドラの人相を調べると、少し会話を交わし、近いうちにドッキネッショルのカーリー寺院に来るようにと言いました。ナレーンドラはそれを承諾しました。この聖者が、自分の師として自分の真理の探究を助けてくれる人なのかどうかを見極めたかったからです。
はい。こうしてついに、ナレーンドラはラーマクリシュナに会うわけですね。隣の家に住むスレーンドラ――まあこのスレーンドラも何回も出てきていますが、のちにラーマクリシュナの、経済的な大変な援助者になった人だね。ラーマクリシュナっていうのは、そういう人が何人か人生の中に登場してるんですね。かつてのモトゥルという人とかもそうだし、何人か登場してるんですが、特にその晩年に、あるいはラーマクリシュナが亡くなったあとも弟子たちのために多くの財産をお布施したのがこのスレーンドラという人ですね。で、この人が当時ナレーンドラの隣に住んでいたと。で、ラーマクリシュナを信仰するようになったので、ラーマクリシュナをたびたび家に招いてたと。そこでナレーンドラが歌がうまいと評判だったので、ナレーンドラを招待して歌ってもらったっていうところですね。
で、ここにおいてついに、運命的なナレーンドラとラーマクリシュナの出会いが始まるわけですね。ここではただ、まだちょっと会話を交わしただけだと。そしてラーマクリシュナも――まあラーマクリシュナって面白い人で、会った人の人相とかあるいはなんかこう手の重さを量ったりとか、いろいろそういうなんか――まあそれが一つの演技なのか本質的なのか分からないけども、そういうのでその人の素養を測ったりするんだね。
で、ここには書いてないけど、のちに語ったところによると、このときラーマクリシュナはナレーンドラの相を見て、のちにホーリーマザーに「ほとんど完璧だ」って言ったらしいんだね。「ほとんど完璧で、ただ二つだけ問題がある」と。その二つっていうのは、「呼吸が荒い」。そして、「大食いである」と。で、この二つによって、早死にの可能性があると。で、これはまさにピタリと当たってて。ナレーンドラは結局三十九歳で亡くなったわけですけど、ナレーンドラの最後の、まあ一応のね、もちろん運命的なわけだけど、一応のつじつま合わせ上の病気は、喘息と糖尿病だったんだね。まさに、呼吸の荒さと食い過ぎ(笑)。まあそれはもちろん一つのつじつま合わせみたいなものなんだろうけど。でもその辺も当たってるのはとても面白いね。で、非常に、当時のインド人としても短い三十九歳で亡くなった。
で、このときはまだ軽い会話だけで、ラーマクリシュナは、「ぜひドッキネッショルに来なさい」と。で、当然ナレーンドラも師を探して悶々としてた時期だから、「この人が本物かどうかを知りたい」っていう思いもあったから、訪ねることを約束したわけですね。
はい。じゃあ次、いきましょう。