「ディンカパ」
ディンカパはブラーフマナで、シャーリプトラという地のインドラパーラ王の大臣でした。
彼と王は輪廻に失望し、二人で火葬場にあるルーイーパの家に行き、門をたたきました。
「どなたですか?」
師ルーイーパが答えました。
「王と大臣です。」
と二人は答えました。
ルーイーパは、
「それでは中にお入りください」
と言うと、彼ら二人をチャクラサンヴァラ・マンダラでイニシエートしました。
イニシエーションのお礼として、彼らは自分たちの身体を差し出しました。
その後、彼らはオーデーシャという異郷の地に行き、そこで托鉢をしました。その後、ルーイーパが王を売ったのは、ダーリカパの伝記の中で明らかにされる。
師ルーイーパとブラーフマナ階級の大臣の二人は、一週間後、仏教徒の王のお膝元であったジャイナタプラにつきました。彼らは酒を売る女の家に行き、酒売りのかしらであるその女を見つけて言いました。
「奥さん、人を買いませんか?」
女将は家の中から答えました。
「買いましょう。いくらですか?」
「金300トーラで結構です。」
師ルーイーパが言うと、彼女は代金を支払い、ブラーフマナを引き取りました。
師はそこを去る時、こう言いました。
「こういう値で買われたのだから、彼をひとりで寝かえてください。彼がお金を料金分稼いだら、彼を解放してください。」
ブラーフマナは、酒売りとしての仕事をよくこなしたので、従業員たちは喜びました。ブラーフマナは、「主人と従業員たちすべての主人」と呼ばれました。
あるとき、昼間の仕事が終わり、食事が運ばれてこないまま夜になったので、ブラーフマナは庭に眠りに行きました。ブラーフマナに食事が運ばれてきたとき、15人ほどの娘たちがそのブラーフマナ階級の子息に奉仕し、彼の体が光り輝いているのを見ました。
酒売り女が女将にそのことを告げると、女将は後悔し、大臣に願いました。
「私どもが12年間あなたを働かせた罪は私にあります。ですから12年間、私にあなたを供養させてください。あなたに奉仕いたしましょう。」
彼は拒否しました。しかし彼は酒売り女たちとジャイナタプラの人々に法を説いた後、修行の仕方を授けました。そして700人の従者たちを従えて、ダーカの領域に行きました。
彼は米の脱穀をする仕事をしたので、「ディンカパ」という名前で知られました。
ディンカパは詩句の中で、このように歌っています。
かつて聖典ヴェーダを朗読した私ディンカパは、米をつき、瞑想を行なう。
私は臼の中で米をよくつき、手で集めて山にした。
私はグルの教示によって米をついた。黒い米をついた。
私は本初の善によって罪をついた。ヴァジュラの智慧の杵によって。
私は空なる法性としての臼の空洞の中で、月と太陽のように光輝いた。
絶えず捨てることと取ることとを無差別としてつき、
フーム字で分別をかき混ぜることにより、
大楽のバターが生じ、
非二元性の風味を味わう。
なぜディンカパを酒売り女に売る必要があったのでしょうか。
「ブラーフマナ」という大きな分別を持つ彼に、酒売りを体験させることによって、階級のおごりを断ち切るために、彼を酒売り女に売ったのである、といわれます。
師ディンカパの伝記、終わり。
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