「チャトラパ」
チャトラパ、すなわち「本を携えている托鉢者」という名の者は、サンドーナーガラという地に住んでいました。乞食でしたが、音に関する小さな辞書を、手に持ち歩いていました。
あるときチャトラパは、一人のよく修行が進んだヨーギーと出会いました。ヨーギーは、
「あなたは何をしているのか」
と尋ねました。チャトラパは、
「生活のために乞食をしています」
と答えました。
するとヨーギーは尋ねました。
「あなたには、来世のための道が必要なのではないか」
乞食は尋ねました。
「道をどのように考えればよいのでしょう」
そこでヨーギーは、彼にへーヴァジュラのイニシエーションを与え、この教えを与えました。
罪をすべて懺悔し、
昼も夜も喜びを観想せよ。
かつてなしたことの結果を、自分の身体に期待しなさい。
後に起こることは、心しだい。
そのように長い間、瞑想すると
次第に印があらわれ、
まさに現世で、ブッダの境地を得る。
しかしチャトラパには、この意味が理解できませんでした。グルは説明しました。
「『罪』とは無明である。そこには様々な種類の過ちが生じる。現象世界をマハームドラーであると悟る見解を持てば、お前の罪は清められるだろう。
『昼も夜も喜びを観想する』については、絶えず慈悲を観想するならば、ダルマターの至福がひとりでに立ちあがる、ということを意味する。過去と未来の行為が絶対だと考えなければ、内的力から生じる行為が完成するだろう。
『後に起こること』については、すべての幸福と苦しみは、心から生じるという意味である。今なお心の中に執着があるかどうかによって、それは左右される。
『そのように長い間』とは、努力して散漫にならずに心を吟味するということを意味する。このように継続的に瞑想すれば、心の迷妄から離れる。――そしてその結果、現世でブッダとなるだろう。
グルの教示を受け、チャトラパはサンドーナガラの地で瞑想し、六年で、マハームドラーの成就を獲得しました。彼はグル・チャトラパという名前でいたるところに知られ、五百人の従者と一緒に、ダーカの世界へ行きました。
師チャトラパの伝記、終わり。
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