yoga school kailas

「サハジャの光明の維持」

◎サハジャの光明の維持

【本文】
 そのような土台をしっかりと固めた上で、自分自身をヤブ・ユムのイダムとして明らかに観想する。その心臓のダルマ・チャクラの中の日輪座に青いフーム字を観想し、そこから光が放たれ、すべての世界を浄化して、すべての衆生がその光に溶け込み、フーム字に吸収されると観想する。
 次に、自分の身体も、フーム字に溶け込んでいく。それからフーム字の「ウー」の部分がハ字に溶け込む。そしてハ字が三日月に溶け込んでいき、三日月がティクレに溶け込む。ティクレはナーダに溶け込み、ナーダは空に溶け込む。

 壺の呼吸法を行ないながらこれを行なうことによって、実際に左右の気道のプラーナが心臓の中央気道の中に入り、とどまり、溶け込み、四つの空の順序で、すぐれた光明があらわれる。そのときに、大楽の心だけは、不動なものとして保ち続けるべきである。

 もともとチャンダーリーの火の修行によって「サハジャの大楽」を生じさせることができるようになった者ならば、このやり方によって、サハジャの光明は簡単に維持できるであろう。

 これはもう一回言うけども、先ほど言ったように、そもそも普段から中央気道に気を入れ、そのエクスタシーと空が一体化したような状況を経験できるようになった人が、この呼吸法ね――瞑想を入れた呼吸法をやることによって、簡単に本質的な光明に没入し、それを維持できますよと。
 でもそれは相当なレベルの高い話だね。まだそこまでは皆さんは行っていない。ただしね、そこまでは行ってないけども、この呼吸法自体はとても利益があります。つまりわれわれはまだ――みなさんはまだサハジャの大楽すら経験していない。経験していないんだが、経験してないから、これをやっても本質的なここでいってる光明は経験できないんだけど、でも修行のプラスにはなります。だからこの修行はこの修行で、やりたかったらやってもいいね。
 ここでいっている壺の呼吸っていうのは、単純にクンバカのことです。つまり息を吸って、息を止めると。それだけね。で、バンダは普通はしなくてもいいんだけど、肛門はした方がいいと思う。何でかっていうと、人間の意識って下に下がりがちだから、肛門ぐらいしっかり閉めといた方がいい。で、普通お腹のバンダはしません、このチベットの呼吸法のときはね。で、喉のバンダはどっちでもいいです。したかったらしてもいい。で、これは胸に集中するので、胸にグーッと力を込めるような感じで息を止めるんだね。
 で、ここに書いてあるような観想を行なうんですね。まず自分の胸にフームね。フームという字をイメージして、フーム字から光が放たれ――まあこのパターンっていうのはいろいろね、観音様の瞑想とかいろんなパターンであるけども、パーッと光が放たれて、ワーッてすべての衆生がこの自分の胸のフーム字に入ってきて、で、自分の体自体も光に溶け込んで、フーム字にガーッて吸収されると。はい、フーム字だけになりましたと。この宇宙にはもうフーム字しかありませんと。で、そのフーム字も、下の方からサーッと上に向かって溶け込んでいく。で、最後にちょっと細かく言うとね、ティクレって書いてあるけど、ティクレってフームの一番上のまあるいやつです。あれに溶け込むと。で、ナーダってあるけど、ナーダっていうのは、本当はフーム字ってナーダはないんだけど、こういうちょっと縦のひょろっとした形のやつをナーダっていうんですね。だからこの瞑想をするときは、そのフームの上にナーダと呼ばれるこういう感じのをイメージして、最後にそれだけになって、それも最後に溶け込んでいく。で、最後にその一切が溶け込んだ光だけの世界をイメージしながら息を止めるんだね。そういう瞑想法があります。
 で、これは――つまりみなさんが今の段階でこれをやっても、それはただの真似っこです。真似っこだけど、利益はあります。それはそれでやりたかったらやったらいい。だからそういう意味では、これはムドラーなんだけど、いわゆるヨーガ系のムドラーと、チベット系のムドラーがあるわけだけど、まあ好きな方をやったらいいね。でもいつもいうように、みなさんにとってまず利益があるのはヨーガ系のムドラーです。つまりここでやってるようなヴァーヤヴィーヤとか、マハー・バンダとか、そういうムドラーね。つまりヨーガ系っていうのは気をガーッて上げる効果が非常に高いんだね。で、チベット系のムドラーは、気を上げる効果はあまり高くないんだけど、非常に深い意識に入る効果が高い。で、われわれに日々まず必要なのは気を上げることなんだね。つまり気が下がった状態で深い意識に入ると変な経験をするから。「チベットのムドラー毎日やってました」「どうなりましたか?」「なんかおどろおどろしいものが出てきました」(笑)。つまり、気が上がってない状態で深く入っちゃったから、変な世界に入っちゃいましたと。それはあんまりよくない。で、ヨーガ系の場合は、普段日々活動しててね、気が下がりがちだから、それをまずガッと上げてくれる。そうすると素晴らしい意識状態になる。で、もちろんヨーガ系のムドラーも深い意識に入るから、そのまま瞑想すればいい経験をすると。もちろん組み合わせてもいいけどね。ヨーガ系のムドラーやって、こういったチベット系のもやるのでもいい。それはまあ好きに使ったらいいと思います。

(K)「三日月に溶け込んでいき」の三日月って象徴か何かなんですか?

 違う違う。三日月は、今日は面倒だからフーム字を書かなかったけど(笑)、じゃあ一応書くけどね。フーム。フームというのは、こういう字なわけだね。ちょっと雑ですけど……まあこんな感じなんですね。で、そこにまず書いてある、ウの部分が溶けこんでいくって、ウの部分ってこれです。前にチベット語勉強した人は分かると思うけど(笑)、これはチベット文字の――まあちょっとチベット文字の勉強になっちゃうけど、このフームっていうのは、実際はいくつかに分解できるんだね。まずこの文字っていうのは、このね、この部分の文字っていうのが――まあ言ってみればここは「H」です。もしくは「ハ」ですね。ハというチベット文字なんですね。で、これが「U」なんですね。つまり「HU」でこれで「フ」。で、この部分が伸びる音ですね。だからこれでフーなんですね。で、これが消える音。つまり「ン」ですね。これで、フーンっていう音になるんだね。で、ここでいってるウーの部分っていうのは、この一番下の部分。つまりここからまず上に向かってサーッと溶けていきますよと。で、次にハの部分。つまりこの部分もサーッと溶けていきますよと。で、溶けた段階で、今度はこれだけになりますね。で、ここに三日月っていうのはこれね。三日月も溶けていきますよと。で、ティクレっていうのはこれですね。で、これだけになるわけだけど、このティクレも溶けていって、で、宇宙にこれだけになると。ね。で、これも最後に消えますと。で、光だけの世界になる。そういう瞑想なんだね。これはまあ、実際はこの瞑想だけではなくて、いろんな瞑想で応用されます。だからチベット系のこういう瞑想ではよく出てくる。そのパターンがね。このフーム字をイメージして、消していくっていうね。

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする