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「グル・リンポチェ」(9)

☆グルリンポチェの五人の主要な配偶者たち

◎チベットのイェシェー・ツォギャル

 イェシェー・ツォギャルは、人間の形をまとったヴァジュラヴァーラーヒーであり、ターラーとブッダローチャナーの転生でもあります。
 彼女はカルチェンのタグダで、吉兆な印に囲まれて生まれました。ツォギャルの父はナムカ・イエシェーという中央チベットの重要な公国であるカルチェンの王で、母親はゲワ・ブムといいました。
 ツォギャルの出生時、自宅の横に突然、湖が現れました。それは「ツォギャルの魂の湖」と呼ばれ、今でも湖の跡である池が残っています。また、彼女が子供の頃に家の近くの岩につけた足跡が、近年まで残っていました。
 当初ツォギャルはティソン・デツェン王の配偶者でしたが、王がエンパワーメントを受ける前に曼荼羅の供物として彼女をグル・リンポチェに捧げたため、ツォギャルはグル・リンポチェの配偶者となりました。
 ツォギャルはグル・リンポチェからエンパワーメントを受け、その儀式において、彼女が投げた花はヴァジュラキーラの曼荼羅に落ちました。そしてヴァジュラキーラのサーダナの実践によって、彼女はヴァジュラキーラのヴィジョンを見、成就を達成しました。

 ツォギャルはチベットで、グル・リンポチェから与えられた教えのほとんどすべてを学び、修行することによって、成就と最高の悟りに達しました。奇跡的な力によって、または何百もの場所で瞑想したり、土地を祝福しながら、グル・リンポチェと共にチベット中を巡りました。絶対的記憶力の成就を獲得したことにより、ツォギャルはその記憶力の力を通じて、チベットでグル・リンポチェによって与えられた、想像もつかぬほど膨大な教えを心の中に蓄積していました。そしてグル・リンポチェの命令に従い、ツォギャルは、将来の支持者の利益となるように、さまざまな場所に教えを隠しました。

 イェシェー・ツォギャルは、グルリンポチェがチベットを離れてからも何年もチベットに留まり、テルマを違う場所に隠し直しました。最期には、カラシッディとタシ・チテンと共に、肉体の遺骸を残さずに、グル・リンポチェの浄土である【銅色に輝く聖山】に向かって、空を飛んでいきました。

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