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◎クンダリニーとチャンダーリー

 ちなみにチベット仏教では、この尾てい骨からクンダリニーが昇るという表現を使いません。どういう表現を使うかというと、この丹田の所から、へそのちょっと下の所から、トゥモの炎が、まあ、発火するとか点火するという言い方をするね。トゥモ。
 インドのこういう言葉の使い方は面白いんだけど、例えばこのクンダリニー。ヨーガで言うところのクンダリニー。これ、みんな覚えておいたら良いかもしれませんが、だいたい伸びる言葉、「クンダリニー」とかね、まあ、いろんな名前とかで「ニー」とか伸びるやつね、これはだいたい女性形だと思ってください。例えば何があるかな・・・。例えば「ターラー」とかね。伸びますよね。ターラーは女性ですね。「ドゥルガー」とかね。伸びますね。特にその「ニー」って付くのは女性が多いです。クンダリニーっていうのは、――クンダリニーって男性形だとね、「クンダリン」って言うんだね。日本で、知ってるかわからないけども、軍茶利明王(くんだりみょうおう)っていう仏様がいますが、あれはクンダリンっていうんです、本当は。男性形だと「クンダリン」なんだけどなぜか「クンダリニー」っていう女性形で表わされている。つまりこれは女神として表されているんだね、ヨーガでは。ここにクンダリニーと呼ばれる女神様が眠ってますよと。このクンダリニー女神を起こしてスシュムナーを昇らせろという表現する。だから「クンダリニー」だね。
 ところがチベットではここの炎をトゥモって言う。このトゥモというのはチベット語だけど、もともとのインドの言葉では実はこれはチャンダーリーっていう。チャンダーリー。あ、また伸びてますね。チャンダーリー、これも女性形です。チャンダーリーって何だと。これ誰かピンと来る人いますか。チャンダーリーの意味知ってる人いる? チャンダーリー。聞いたことないかな。
 これはね、インドのカースト制度ってあるよね。カースト制度って皆さん知っていますか。T君、カースト制度って何がありますか。カースト制度っていうか、まあヴァルナっていうかね。四つの階級があって。

(T)一番上はバラモン・・・ヴァイシャ。で、シュードラ・・・。

 そうだね、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラ。
 簡単に言うとバラモンっていう僧、いわゆるお坊さん階級があって、クシャトリヤっていう王族がいて、で、ヴァイシャっていう一般庶民がいて、で、シュードラっていうのが奴隷です。生まれつき、もう一生奴隷として生きなきゃいけない階級だね。
 で、この四つにすら入らない人たちがいる。これは不可触賤民といって、英語で言うとuntouchable。つまりもう触ることもできない。もう人間でもない、みたいな扱いをされている人たちがいる。これをチャンダーラと言います。
 よって「チャンダーラ」の女性は「チャンダーリー」なんです。チャンダーリー。その名前がこれにつけられているんだね。
 これはどういうことだと。これはいろんな説があります。一つの説としては、こういった修行というのはあらゆる観念を打ち破んなきゃいけないので、つまり汚いとかきれいとか、良い悪いとか、あらゆる二元性を打ち破るんだね。だからわざわざここにこれを持ってきたっていう説もあるけど、また全然別の考えとしては、さっきもちょっと話したけども、結局ここに――この辺にあるエネルギーっていうのは本来は、高い世界から見たら、まさに汚らわしいもんだと。つまり怒りであるとか、性欲であるとか、あるいは単に物質を集めるとか、そんなくだらないことに使っているエネルギーなんです。よって「チャンダーリー」。
 つまり本来はそんなどうしようもない、汚らわしいことに使っているエネルギーなんだが、実は正体は違うんだよと。このエネルギーの正体はそんな汚い、汚れたもんじゃなくて、こいつが目覚めさえすれば我々に覚醒をもたらすエネルギーなんだよ、っていうことなんだね。それが仏教的にいうとチャンダーリー。ヨーガ的にいうとクンダリニー。
 これは単に起点が違うと考えてください。どこを起点にして目覚めさせるかが違うだけだ。チベット仏教ではもうちょっと上の方でこう目覚めさせる。ヨーガでは一番下のところで目覚めさせる、ということだね。

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