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2011年インド修行旅行記(8)「ラーサの踊り」

◎ラーサの踊り

 
 この夜、我々はヴリンダーヴァンのホテルに到着しました。そして翌日、いよいよクリシュナの聖地巡礼を敢行しました。

 実は今回、ヴリンダーヴァンに来るのは初めてだったのですが、ほとんど下調べはしておらず、この日の聖地巡礼についても、ほとんどノープランでした。まあ、行けば何とかなるだろう、くらいに思っていて、ガイドもやとっていませんでした。

 ヴリンダーヴァンには、クリシュナの少年時代のエピソードにまつわる場所や寺院がたくさんあります。しかし全部まわっていたら大変なので、いくつかポイントをしぼることにしました。クリシュナとゴーピー達が踊った場所や、ミーラーバーイーの家、そしてクリシュナが友達たちと遊んだヤムナー河などです。

 まず我々は、ヴリンダーヴァンの地図を手に入れようと思ったのですが、ホテル(クリシュナ系の宗教団体のホテルだったのですが)や寺院にはないと言われるし、店でも売っていません。インド人には地図を見るという概念があまりないらしく、道は知っていても、地図の見方などがよくわからない人もいました。

 やっとある店で手に入れた地図を頼りに、我々はまた炎天下の中を歩き出しました。
 
 ヴリンダーヴァンの町並みは、想像とは全く違っていました。
 雰囲気は、あまり聖地という感じではなく、ゴチャゴチャしています。
 そしてクリシュナの誕生日の前日だというのに、思ったほどには人も多くありませんでした。もちろん外国人などはほとんどいません。

 最初我々は、クリシュナが毒蛇のカーリヤを倒したことを記念する寺院に詣でました。そしてその後、ヴリンダーヴァンで一番有名で大きいという寺院へと向かいました。
 しかしここで我々は危機に直面しました。道が、地図と全然違うのです笑! しかもものすごく入り組んだ道ばかりで、全く地図が役に立ちません。
 しかしこの寺院は非常に有名だったようで、道ばたで寺院の名前を言うとみんなが方向を教えてくれたので、何とかたどり着くことができました。しかし残念なことに時間的にちょうど寺院が閉まっている時間だったので、お参りすることはできませんでした。
 
 さて次に我々は、クリシュナがゴーピー達と夜通し「ラーサの踊り」を繰り広げたという場所に行きたかったのですが、やはり地図を見ても行き方が全くわかりませんでした。

 するとそこへ、英語の話せるインド人が現れ、ガイドを買って出ました。これはインドではよくあるシーンです笑。自分でガイドを買って出る男はインドには多くいて、中にはたちの悪い人もいるので、普通は相手にしないのですが、このときは本当に場所が全くわからなかったので、ラーサの踊りの庭園にだけ連れて行ってもらうことにしました。

 まず我々は、クリシュナがゴーピー達と夜通し踊ったあとに、ラーダーと一緒に体を休めにきたといわれる庭園を訪ねました。そしてその後いよいよ、クリシュナが多くのゴーピー達と「ラーサの踊り」を踊った庭園へと向かいました。

 クリシュナの恋人達であるゴーピー達は、見た目は普通の牛飼いの女たちですが、実際は聖なる魂の化身であるといいます。そして彼女たちは魂の最高の境地としてクリシュナへの純粋な愛を手に入れました。
 ある夜、クリシュナは自分を愛するゴーピー達を呼ぶために、笛を吹きました。その美しい音色を聞いたゴーピー達は、いても立ってもいられずに、クリシュナのもとへと走っていきました。昔のインドでは女性はかなりの若年齢で結婚する風習があったため、このゴーピー達も実はほとんどが人妻だったのですが、彼女たちはクリシュナへの愛により、夫も子供も家庭の仕事もすべて投げ捨てて、クリシュナのもとへと向かったのです。
 そしてクリシュナは多くの分身を出して、彼女たちと輪になって踊りました。この歓喜の踊りは何夜にも渡って続いたといいます。

 この庭園は、夜になると門を閉じられ、人間は誰も入れなくなり、そして人間のみならず猿たちも出て行くのだといいます。なぜなら今でも毎晩、夜になるとここにクリシュナがやってきて、ゴーピー達とラーサの踊りを踊るのだからだそうです。この庭園には背の低い灌木がたくさんあるのですが、夜になるとこの木がすべてゴーピー達に変わるのだそうです。

「今はカーリー・ユガ(暗黒の時代)なので、そんなことが本当にあるとは多くの人は信じていないが、俺は本当の事だと信じている。」

とガイドが言いました。どうやらただのぼったくりガイドではなく、とても信仰心の篤い人であったようです。

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