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第二章 無常と死


安らぎを見つけるための三部作

パート1「心」

第二章 無常と死

 たとえ、得ることが難しいこの人間の生と、師や真理との縁という、
 稀有なチャンスを得たとしても
 われわれの生命は、すぐにでも壊れないという保証はありません。
 次の瞬間には死んでいる可能性もあるのです。
 それについて、あなたが精細に検討するならば
 人の命は泡のようにはかないものだということに気づくでしょう。
 よってあなたは、死は自分に確実に訪れるのだということを、24時間、いつも忘れないようにしてください。
 
 この肉体は、すべての不満と不幸の基盤であり、さまざまな悪の生ずるもととなるものです。
 この肉体が、たとえ美しい衣装、宝石、花輪で飾られていたとしても
 またはおいしい食べ物で満たされていたとしても
 このはかない肉体を、あなたは最後には手放さなければなりません。
 死んだ後に、キツネや禿鷹やジャッカルなどの食物になるような
 この肉体を尊重する考えを捨ててください。
 この肉体が永遠であり、欠点がないという妄想を捨ててください。
 そして今から先は、ただ人生の真の意味を求めて生きてください。

 天の神々さえも、死から逃れることはできません。
 無色天に生まれると、心を止める瞑想によって、
 何カルパもの間、その世界にとどまることができますが
 それでも最後には死にます。
 天の神々も、聖者も、魔術師も、王も、一般人も、
 生まれた者で、死なない者はいないのです。

 無常なる生命の雨雲の上で
 死の王はダンスを踊り、
 死の稲妻の一撃を振り落ろします。
 
 この宇宙の破壊期には
 宇宙のすべては消滅します。
 世界の中心のメール山さえも
 その周りの宇宙の海も、大陸も
 宇宙の外周を形成する山脈も
 すべては破壊され
 虚空に消えていきます。
 これらについて思索し
 人生の真の意味の探求に心を傾けてください。

 世界の指導者であるブッダでさえ
 自ら肉体を捨てることによって
 すべての無常性を示しました。

 ああ、すべての存在は、このように壊れ去るというのに
 我々自身の肉体が、壊れないということがあるでしょうか?
 それは幻の家のようなものです。

 したがって、我々は死ななければならないというのは確かですが
 いつ、どこで、どのようにして死ぬのかは
 全く不確かです。
 そして我々の寿命は、増加することはありませんが
 日々、確実に減少していきます。
 そして私たちの周りに、死の条件となるものは非常に多く
 生の条件となるものは、ごくわずかです。
 よって、あなたが今日、今この瞬間から
 この人生を意味あるものにするために努力しなければいけないということは
 理にかなっています。
 あなたに残されたわずかな時間を、意味のないことに浪費することなく
 ただ一つの目的のために、与えられたすべての時間を集中させてください。

 われわれの肉体は、多くの部品、そして多くの原子の集合体であり
 のちにはバラバラに壊れ去る運命にあります。
 それは崩壊寸前の古い都市のようなものです。
 すべてが崩壊し、手遅れになる前に
 人生の真の意味の探求に、心を集中させてください。

 死がやってきたとき
 我々はすべての親類を置き去りにして
 孤独に去らなければなりません。
 楽しみも、喜びも、友人も、美しさも、若さも、力も、地位も
 すべては置いていかなければなりません。
 そして我々が生きている間に積んできた、善と悪のカルマのみが
 我々につき従ってきます。
 ならばなぜ我々は、今現在、真理の実践に全力で努力しないでよいといえましょうか?

 また、過去と未来に目を向けてみてください。
 我々の前の世代の無数の人々は、全員、死にました。
 現在生きている人々の大部分の生命は、百年ももたないでしょう。
 そして未来の世代の人々も、同じ運命をたどるでしょう。
 若者も老人も、死という同じ運命を共有します。
 自分自身も同じくそうなのだと考え
 常に死を念頭において
 人生の真の意味の探求に、心を集中させてください。

 最も低い地獄から、最も高い天までの、この三界の中で
 死の支配から逃れられる場所は、どこにもありません。
 すべては無常であり、一時的であり、変化し続けるものであり
 それゆえに、我々は何も所有しているとはいえません。
 すべては車輪のように転がっていきます。
 この人間の世界にも、多くの苦悩があります。
 多くの病気、戦争、火事、野生動物、毒、悪しき王、敵、泥棒など
 人生で集めたどんな宝物も、それらによって破壊される可能性があります。

 仮にそのような苦悩がなく、うまく人生が過ぎていったとしても
 人の命は、刻一刻と死に向かってすり減っています。
 我々は昼夜、瞬間瞬間、死の王の領域に近づいていっています。
 まさしく、海に落ちようとしている滝の水のように。
 または、山影に沈もうとしている太陽のように。

 あなたは今、真理を探究できる貴重な機会を得ていますが
 それは様々な要因により、破壊される寸前にあります。
 あなたが人生の目的を達成する前に、
 死によってそれらを破壊されないようにしてください。
 無益さに満ちている、現世のすべてを捨ててください。
 そして心から、無常と死の意味について認識してください。

 あなたは今、人間の身体という稀有な船を手に入れて
 グルという最高の導き手とも出会い
 苦悩の輪廻の海を越えようとしているのに
 無常なる輪廻の様々な誘惑に騙され
 それらを超える努力をしないならば
 油断している間に
 あなたの船は転覆し、あなたは輪廻の海に深く沈んでいってしまうでしょう。

 ああ! この牢獄のような輪廻について
 深く考えてください。
 そして輪廻に対する嫌悪感を育ててください。
 人は自分の生命が、永遠に続くかのように考えています。
 誰が、輪廻の海を渡り切る貴重なチャンスを持っていますか?
 
 輪廻の毒の海を渡り切りたいと思う者は
 現在自分に与えられたチャンスが、限りなく奇跡的な、
 稀有なものだということを認識しなければなりません。
 そして昼夜は止まることなく過ぎゆき、死は必ずやってくるということを、
 覚えておかなければなりません。
 そしてもう一度、
 輪廻への嫌悪感と、輪廻から解放されることへの強い願望を、育んでください。

 あなたはいつ、強い決意をもって、この真理を理解するように努めますか。
 幸福と至福(解脱)を得るために、正しく努力するなら
 この現世的人生と、自我に対する誤った信頼は壊れ去るでしょう。
 無常なる現世の偽りの喜びを超え、すべての悪が根絶された心の本性に至るならば
 本当の喜びを悟ることができるでしょう。

 衆生にとって真に役立つ、この教えの調べによって
 すべての存在の無常性に対する正しい理解が生まれ
 輪廻への誤った希望や恐怖によって疲弊し切った衆生の心が
 今日こそ、安らぎと幸福を見つけられますように。

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