光り輝く心の輝き
ブッダガヤーで瞑想して気づいた真理を、もう一つ書いておこう。
これはより誤解されやすい教えなのだが、
――煩悩も慈悲も、悪しき考えも良き考えも、すべての心の働き、心の現われの正体は、光り輝く心の輝きである。
この教えは、無智な人に説くと、勘違いをする。
しかし、真実である。
だからといってもちろん、煩悩や悪しき考えを肯定してはいけない。
それをすると、この世で苦しみ、死後は地獄へ落ちるだろう。
仏教やヨーガの教えはすべて、何重もの意味が重なっているので、深い理解がないとわかりにくい。
たとえばよく出る輪廻の問題。端的にいうと、輪廻転生があるのは「事実」である。しかし「真実」には、輪廻転生は存在しない。しかしこの「真実」を理解しているわけではないのに、「事実」のレベルで「輪廻転生は無い」と主張してしまうと、混乱が生じる。それは仏教的にいえば「邪見解」であり、地獄へ至る要素となる。
同様に、煩悩や悪しき心が、人を苦しみに導き、地獄へ導くというのは、「事実」なのである。
その事実を無視し、「煩悩即菩提」とか「煩悩も本質は光」といったことを、聞きかじりで実生活に応用しようとすると、その人はどんどん迷妄の中に引きずり込まれる。
しかし確かに、「煩悩も含めて心の本質はすべて純粋な光」というのは真実だと思う。
しかしそれに本当に気づくには、煩悩や心の汚れをある程度浄化しなければならない。その上で、仏陀や神々の祝福を受け、深い瞑想に入らなければならない。
ちょっと抽象的ではあるが、この辺は体験して「観る」しかない世界なので、ぜひ修行し、理解してほしい。
(「2005年インド修行旅行日記」より)