「四大元素の撤退」
◎四大元素の撤退
【本文】
【死の兆候とプロセス】
実際に自分に死が迫ってきたことは、どのようにして知ることができるのか。
要約すると、まず身体の地元素が撤退していくとき、身体を動かすことができなくなり、身体の力を保てず、力が抜け、身体が地面に沈みこむような感じがする。
内的経験としては、陽炎のようなヴィジョンが見える。
水元素が撤退していくときは、口と鼻の中が渇き、舌が縮む。
内的経験としては、 煙のようなヴィジョンが見える。
火元素が撤退していくときは、体が徐々に冷えていき、熱は体のどこかに集まっていく。
内的経験としては、蛍の光のようなヴィジョンが見える。
風元素が撤退していくときは、吐く息が長くなり、息を吸いづらくなる。
内的経験としては、不動の灯明の火のヴィジョンが見える。
はい、これはつまり実際にね、事故とかで急死する場合、あと病気とかで急死する場合は除いて、こう静かにグーッと死のプロセスをいく場合、まずこれは「撤退」ってあるけども、つまりこのね、われわれの肉体っていうのは、いつも言うように地・水・火・風、もしくは空も入れる場合もあるけど――まあ空っていうのは空間とか意識なので一応除いといて、地・水・火・風でできてますよと。
つまり地っていうのは固体であると。水っていうのは液体の部分。で、火、火元素っていうのが熱エネルギーですね。体温とか。で、風っていうのがいわゆる気とかプラーナとかいう生命エネルギーです。
で、死んでもさ、別に死んだ時点では肉体は消えるわけじゃないよね。つまり地元素の固体とか、あと水元素の血液とかがパッと消えるわけではない。でもここでいってるのは、その奥にある――つまり実はこの地元素の奥に固体のおおもととなってる微細な地のエネルギーっていうのがあるんだね。これが肉体から撤退するんです。これが完全に撤退したらもう生きてられないんです。しかしまずその撤退が順番に始まっていくんだね。このプロセスです。これがこういう形で始まりますよと。
だから死の時には誰もがこういうような経験をね、まあちょっと意識が朦朧としてたら分かんないかもしれないけど、はっきりとした意識があるとしたら、こういう感じの経験を自覚として経験しますよっていうことですね。
はい、そしてこのようにだんだん体から四大元素のおおもとみたいのが撤退していって、で、その後で次にその四つの光のプロセスに入るわけですね。
◎四つの死の光明
【本文】
それから初めの「明らかな光」が、雲のない虚空に月の光が輝くようにあらわれる。
次に、「輝き増大する光」が、何もない虚空に太陽があらわれたような、赤あるいはオレンジの光としてあらわれる。
次に、「大いなる空」とも呼ばれる「成就間近の光」が、何もない虚空が夜の暗闇に覆われたようにあらわれ、何の思念もなくなってしまう。
そしてその暗闇の昏睡から目覚めるとき、「一切空」と呼ばれる光明があらわれる。それは明け方の何もない虚空のような光明である。
これらの死の光明を経験しているとき、もろもろのプラーナは心臓の「不壊なるもの」に溶け込み、頭の白いボーディチッタは下に下がり、へその赤いボーディチッタは上に昇り、それらが心臓で合一する。
はい、このようにまず元素が崩壊、撤退していった後に、この四つの光の経験をするんですよと。このように物理的には心臓に頭の白いエネルギーと臍の赤いエネルギーがグーッと昇り、意識もその心臓の中に溶け込んでるんですよということだね。われわれは眠るとき、睡眠のときにもエネルギーや意識がこの心臓に集まります。よって死の時のその光を経験しやすいんですね。その物理的な作用を利用してるっていうことだね。
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