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「クンティーとカルナ」

(7)クンティーとカルナ

 太陽神の子孫であるヤドゥ族に属するシューラには、プリターという、美しさと徳の高さで人々に知られた娘がいました。しかしシューラのいとこであるクンティボージャには子供がいなかったので、シューラはプリターを養女としてクンティボージャにくれてやりました。それ以来プリターは、養父の姓にちなんでクンティーという名で呼ばれるようになりました。

 クンティーがまだ少女のころ、賢者ドルヴァーサが客としてやってきて、一年間に渡って家に滞在したことがありました。そのときクンティーは、献身的にこの賢者の世話をしました。大いに喜んだ賢者は、クンティーにあるマントラを授けて、言いました。
「お前がこのマントラを唱えながら神の名を呼ぶならば、その神がお前の前にやってきて、神と同じくらいの栄光をもたらす息子を一人授けてくれるだろう。」

 賢者ドルヴァーサはもちろん、クンティーの将来のためにこのマントラを授けてあげたのですが、クンティーは好奇心により、すぐにその効果を試してみたくなり、ある日、マントラを唱えて、太陽神の名を呼んでみました。すると本当に光り輝く太陽神がクンティーの前に現われて、言いました。
「われは太陽神である。そなたの唱えた息子授与のマントラの力によって、そなたのもとへ引き寄せられてまいった。」

 クンティーはびっくり仰天して言いました。
「私はまだ父親に養ってもらっている未婚の少女でございます。私にまだ母になる資格はございませんし、そうなることも望んでおりません。私はただ、賢者ドルヴァーサ様にいただいたマントラの力を試してみたかっただけでございます。どうぞお引取りになり、私の幼い愚行をお許しくださいませ。」

 しかし太陽神はそう言われても、マントラの力が強力だったので、クンティーに子供を授けないではそこを去ることができませんでした。太陽神はクンティーに言いました。
「心配するな。わが息子を産んだ後、お前は再び処女の体になるのだから、いかなる非難もそなたに浴びせられることはないであろう。」

 こうして太陽神の恩寵を受け、クンティーは子供を身ごもりました。長い妊娠期間を経ることなく、直ちに出産が始まりました。子供は、神の鎧と耳輪をつけたまま、美しく輝きつつ生まれてきました。

 しかし人々の非難を恐れたクンティーは、子供を箱に入れて、川に流してしまいました。

 川下で、子供のいない御者夫婦が、その箱を拾いました。こうして、偉大なる太陽神の息子カルナは、御者の子供として育てられることになったのでした。

 やがてクンティーも年頃となり、養父のクンティボージャは、クンティーのために婿選びの儀式を盛大に執り行ないました。クンティーの美しさと徳の高さは広く知れ渡っていたので、各地から多くの求婚者が集まってきました。

 その中に、バーラタ族のパーンドゥ王がいました。パーンドゥ王は、シャーンタヌ王の次男であるヴィチットラヴィーリヤと、カーシー国の王女であったアンバーリカーとの間に生まれた息子でした。

 パーンドゥ王の人柄に惹かれたクンティーは、彼の首に花輪をかけました。結婚式が厳かに執り行なわれ、こうしてクンティーはバーラタ族のパーンドゥ王の后となったのでした。

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