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要約「シクシャー・サムッチャヤ」(15)「殺生の果報」

◎殺生の果報

 十の不善業を犯すならば、それは障害であり、極めて苦しい果報が生ずる。
 
 まず殺生を犯して落ちる地獄については、正法念処経に、次のように説かれている。

「アグニシーカーチャラという鳥がやってきて、地獄の住人の頭を破り、その血を飲む。
 次にカパーラーンタラチャラという鳥がやってきて、火炎に燃えるくちばしで、地獄の住人の脳髄を食う。
 次に食舌という鳥がやってきて、地獄の住人の舌を食う。
 また他の多くの鳥がやってきて、地獄の住人の歯を食い、喉を食い、毛を食い、肺を食い、内臓を食い、背骨を食い、性器を食い、骨髄を飲み、爪を食い、筋肉を食い、血管を食い、毛根を食う。
 彼は無間地獄において、このように体中を食われてはまた復活し、また食われる。このような苦しみを十万年も味わいつづける。」

「シュワブラプラパータという地獄では、地獄の住人は救いを求めてさまようが、誰も友はなく、一人で焼かれて苦しむ。
 また次に、炭火の河に入る。そこに足を入れると足は焼かれてなくなり、足を上げるとまた復活する。
 また、カルマの風に吹き飛ばされ、非常に高い場所から落ちて、地に叩きつけられる。そこへ鳥がやってきて、彼の身体を食う。すると彼の体が復活し、またカルマの風に吹き飛ばされ、再び大地に叩きつけられる。このような苦しみを十万年も味わいつづける。」

「また旋輪という地獄では、鋭い刃のついた燃え上がる巨大な車輪が襲ってきて、地獄の住人の身体を切り刻む。
 また、針の道を行き、また虫に体を食われる。
 殺生を犯す者は、このような果報を得る。」

◎偸盗の果報

 偸盗の罪を犯した者は、地獄に落ちて、迷妄によって火炎の中に財宝の幻を見、それを取ろうとすると、地獄の獄卒がやってきて、燃え上がる彼の体を刀で切り刻む。

◎邪淫の果報

 愛欲によって邪淫に耽った者は、悪邪見という地獄に落ちる。彼は彼のカルマの力によって異性の幻を見、その異性を抱きしめると、その異性により唇を噛まれ、また体中を食われる。するとまたその体が復活し、そしてまた食われる。
 性欲は罪の根本である。そのために財産や幸福を失い、死後は地獄に落ちる。性欲を否定して遠く離れる者は、身体が安穏となり、楽を得る。

◎嘘の果報

 嘘をつく者は地獄に落ち、地獄の獄卒が彼を捉え、刀で口を切り裂き、舌を引き出す。悪業の力によって、彼の舌は長く大きくなっている。獄卒はその舌を燃え盛る鉄板で焼き、またその上を地獄の牛たちが踏みつぶし、血が飛び散る。このようにして焼かれ、ずたずたにされた舌が、再び復活し、また同様の責め苦を受ける。彼はこのような苦痛を十万年以上も味わいつづける。
 また、このような苦痛からやっと解放されたと思ったら、今度は獄卒によって、体中を、頭から足の先まで、微塵切りにされる。

◎両舌の果報

 両舌をなす者は、地獄の獄卒に舌を切られ、それをキツネやオオカミなどに食われる。その他は、嘘をついた者と同様の果報を受ける。

◎悪口の果報

 悪口を言う者は地獄に落ち、地獄の獄卒に舌を切られる。そのとき彼は、耐えがたい飢餓感に襲われ、自らの舌を食い、自らの血を飲む。すると再び舌が復活し、同様のことが繰り返される。

◎綺語の果報

 綺語を言う者は地獄に落ち、地獄の獄卒は彼の口を裂き、そこに沸騰した赤銅を注ぐ。それによって彼の舌が焼かれ、喉が焼かれ、心臓が焼かれ、内臓と腸が焼かれ、肛門から出る。

◎物惜しみ・むさぼりの果報

 物惜しみやむさぼりに心覆われた者は地獄に落ち、多くの財宝を持っている者を見る。彼は迷妄なる悪業なるが故に、貪りととらわれのゆえに、手に刀を持って、その財宝を奪おうとする。するとまた別の地獄の住人も、貪りによって刀を持って現われ、その財宝を奪おうとする。こうして地獄の住人同士で殺し合う。
 他人の財産を見て、自分のものにしたいと願う者は、このような果報を受けるのである。

◎怒りの果報

 怒りに心覆われた者は地獄に落ち、彼の前にライオンや蛇や虎が現われる。彼は恐怖によって逃走する。しかし悪しきカルマのゆえに、逃げ切ることはできず、とらえられ、ライオンに頭から食われる。蛇は毒牙でかみつき、虎は彼の背中を食う。火は両足を焼き、地獄の獄卒は鋭い刃物で彼の体を刺す。

◎誤った見解の果報

 誤った見解に陥った者には、無量の苦しみの果報があるが、その中の一つを説くならば、彼は地獄に落ち、刀の雨やダイヤモンドの雹が激しく降り、またさまざまな石なども降り、彼の体を粉々にする。

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